各球団が来季の構想から外れる選手を発表する中、驚きの声が上がったのがヤクルトだった。
守備固め、代走で重宝されていたヤクルト一筋14年の上田剛史が戦力外通告を受けたのに加え、投手陣を支えてきた山中浩史、近藤一樹の退団も決まったのだ。
投手だけで10人が一気に退団
山中はソフトバンクから14年途中に移籍し、15年に先発ローテーションの谷間で6勝2敗と好成績を挙げてリーグ優勝に貢献。通算17勝で阪神戦が7勝、甲子園で5勝とキラーぶりを発揮した。今季は6試合登板で1勝2敗、防御率5.50。9月2日の阪神戦(甲子園)は6回4安打2失点の快投を見せた。
一方、16年途中にオリックスからトレード移籍した近藤は救援の柱として奮闘。18年は球団記録タイの74試合に登板し、球団新記録の35ホールドで最優秀中継ぎのタイトルを獲得。昨年も59試合に登板して22ホールドを挙げた。今季は20試合登板で2ホールドと不本意な成績に終わったが、救援の層が薄いチーム事情で近藤が来季の戦力構想から外れたのは驚きだった。
ヤクルトは投手陣では五十嵐亮太、中澤雅人が現役引退を決意し、山中、近藤ら7人の投手が戦力外通告を受けた。今季加入したイノーアの退団も決定し、投手だけで10人が退団する。また、FA権を保有するエース右腕・小川泰弘、守護神・石山泰稚の去就も不透明だ。
「山中と近藤をクビにするほど投手陣は整ってないだろう」
山中は35歳、近藤は37歳とベテランのため、若返りを図るチーム方針で構想外になった可能性も十分にある。ただ、チームは今季借金28と5位の広島に12ゲーム差をつけられ、断トツの最下位に低迷した。リーグワーストのチーム防御率4.61と「投壊状態」の中で、山中と近藤は戦力として本当に必要がなかったのだろうか。
ヤクルトファンからは「山中と近藤をクビにするほど投手陣は整ってないだろう。若手も全然出てきていない。今年のドラフトも大卒、社会人の投手は1位の木澤尚文(慶大)と2位の山野太一(東北福祉大)の2人だけなのに、こんなに投手陣をクビにして大丈夫なの?」、「なんで近藤なのか理解できない。救援陣は清水昇、マクガフ、梅野雄吾が出てきたけど故障者が出たらどうするの?他にクビにするべき選手はたくさんいるのに。ドラフトでも即戦力の投手を全然獲っていないし、強くなるビジョンが見えない」など球団フロントの判断に疑問の声が多い。
FA権の行使が注目される山田哲人が残留しても、今の投手陣では心許ない。来季に向けての逆襲へ、課題は山積みだ。