岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
勝利信じる「トランプ・ファイター」とは何者なのか

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大手メディアの「トランプ支持者像」との落差

   私はこの日、すれ違ったほとんどのトランプ支持者たちに声をかけ、話した。そして、相手からも声をかけられた。そのすべての人たちが、笑顔でフレンドリーで礼儀正しかった。

   私は高校時代に交換留学で、中西部ウィスコンシン州にある人口2,000人の小さな田舎町で1年間、過ごした。大学でも留学生として1年間、中西部オハイオ州で暮らした。私が今も親しくしているどちらの州の友人たちも、そのほとんどが民主党支持者でトランプ氏を嫌っているが、そうではない人たちもたくさんいる。

   民主党支持のニューヨーク出身の友人が時々、「ウィスコンシンの人たち」とやや軽蔑を込めた言い方をするのに、抵抗を覚えることがある。「教養のない田舎の人たち」という思いがこもっている。

   1日中、トランプ支持者たちと接して、中西部で暮らしたあの頃の、懐かしいアメリカを思い出した。彼らのほとんどは、マスメディアやニューヨークのトランプ嫌いの友人たちが思い描く「トランプ支持者像」とは、ズレがある。

   この連載の次回の記事(2020年11月19日公開予定)では、翌14日のワシントンでの抗議デモを中心に伝える。

   その日、朝から緊張感高まるいくつかの場面に遭遇した。そして、バイデン氏が正式に大統領になったら、「武器を手に戦う準備がある」と語る人たちにも出会った。(随時掲載)

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

 
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