「パソナ太郎」失業者向け履歴書見本が物議 大阪市「適切でない部分はあった」、内容見直しへ

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   大阪市の保健福祉センターの一部が、氏名に「パソナ太郎」と書かれるなどした履歴書見本を使って、生活保護の申請者らに就職サポートを行っていたことが分かった。

   市の保護課は、企業名を使うなどしたことに「適切でない部分はあった」と認めた。パソナでは、支援対象者の求めに応じて作成して配布したと説明したが、今後はその内容を見直すことを明らかにした。

  • 大阪市から渡された履歴書見本(写真は、小川陽太前大阪市議提供)
    大阪市から渡された履歴書見本(写真は、小川陽太前大阪市議提供)
  • 大阪市から渡された履歴書見本(写真は、小川陽太前大阪市議提供)

「ふつうならここで『大阪太郎』さんですよね」

   「大阪市立パソナ中学校卒業 大阪府立パソナ高等学校普通科入学...」。履歴書の見本には、こんな学歴などが書かれている。

   保健福祉センターの一部で見本が配られていることは、小川陽太前大阪市議(共産)が2020年11月14日、ツイッターで写真を投稿して明らかにした。

   この見本では、48歳の男性が高校卒業後、「大阪商事営業部第2課」に13年勤め、「大阪工業ガラス」に転職して11年いたものの、業績不振による会社都合で辞めたとある。その後は、派遣やアルバイトとして工場などで作業員として5年間働き、1か月ほど前から「長期安定雇用をめざして就職活動中」だとしている。

   履歴書の書き方としては、「最終行は、退職している場合は『以上』、在職中は『現在に至る』と記入する」とし、本人希望記入欄には「貴社の規定に準じます」と書いた例を載せるなどのアドバイスをしていた。

   見本写真を載せたツイートは、注目を集め、6000件以上もリツイートされている。市で配られる見本の内容に驚く声が上がり、「ふつうならここで『大阪太郎』さんですよね」「こんなところにもパソナ」「誰が考えたの?めちゃくちゃ引く」などと疑問や批判も出ていた。

「弊社グループの社員が支援対象者様の求めに応じて作成し、配布」

   ツイートによると、写真の履歴書見本は、失業した生活保護申請者が11月13日に渡されたという。小川前市議は16日、J-CASTニュースの取材に対し、申請者の30代ぐらいの男性からは、稼働年齢層のため就労指導が必要だとして市の平野区保健福祉センターで見本を渡されたとの話を聞いたと明かした。

「市の窓口サービスは、パソナの派遣社員に次々に置き換えられています。この方は、派遣労働のあり方や会社の会長発言にいい印象がなかったので、見本に『パソナ太郎』と書かれていてびっくりしたと言っておられましたね」

   大阪市の保護課は16日、生活保護受給者や生活困窮者らの就労支援を行う総合就職サポート事業の受託企業3社のうち1社がパソナだとし、同社は市の9区でサポートを行っていると取材に説明した。

   この履歴書見本は、19年5月1日現在と見本に記されたときから、パソナ側が9区の支援員すべてに渡し、必要に応じて対象者に渡していたという。履歴書を1回も書いたことのない人には記載例を見せた方がいいとの判断があったそうだ。

「この事業のためではなく、同様な事業をしていたときの見本を参考にして作成したということです。分かりやすくするために説明に使ったものですが、企業名が出ており、適切でない部分はあったと思っています。不快に思う方もツイッターなどで見られるため、見本の内容を見直していると聞いています」

   パソナグループの広報部は17日、取材に次のようにコメントした。

「ご指摘の履歴書見本ですが、弊社グループの社員が支援対象者様の求めに応じて作成し、配布をしたものとなります。
また、受託している9区で希望者のみに配布しているものであって、全員に配布しているものではございません。またその内容は、本事業を受託している組織において、過去の事例などを参考に独自に見本を作成したものであり、各担当者自らが作成しているものではありません。
今回の履歴書見本に関しましては、支援対象者様のお役にたてればと作成されたものでしたが、ご利用者の気持ちに沿っていないような表現もありますので、大阪市様と協議の上、見直しを進めております」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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