2020年10月28日、JR西日本は期間限定という条件付きながら、有料座席サービスの新快速「Aシート」に指定席を設置することを発表した。並行私鉄の動向も考慮しながら、関西における今後の展望を考えてみたい。
新快速にも指定席設置の波が
JR西日本は2020年12月1日から期間限定で、定員制の有料座席サービス、新快速「Aシート」に指定席を設置することを発表した。
有料座席サービス「Aシート」は2019年3月にスタートし、1日上下各2本の新快速に連結されている。車内は4列(2列+2列)のリクライニングシートが並び、乗客は空席があればシートに座れる。乗車整理券は乗車距離に関わらず500円になり、車内で車掌から購入する。
指定席は12席が設置され、JR西日本のネット予約「e5489」もしくは駅の「みどりの券売機」等から乗車前に指定席券を購入する。指定席券の料金は840円だが、「e5489」限定で600円で利用できるチケットレス商品を発売する。指定席の設置期間は12月1日~2021年2月28日の予定だ。なお指定席の導入後も従来の定員制の座席は利用できる。
コロナ禍も影響?安心・安全への要求
大阪と京都を結び、JR西日本「新快速」の良きライバルである京阪特急は2021年1月から座席指定特別車両「プレミアムカー」の連結列車を増やす。現在は8000系のみ連結されているが、2021年1月からは3000系にも「プレミアムカー」を連結。これにより原則として昼間時を走るすべての特急で「プレミアムカー」が利用できるようになる。
コロナ禍による社会情勢の変化により、「安心・安全」を求める利用客から座席指定特別車両への期待がさらに高まっていることを感じる。期間限定とはいえ新快速「Aシート」に指定席が導入されることにより、大阪~京都間を走る近郊型車両で指定席が設置されていないのは阪急電鉄のみとなる。従来、阪急電鉄は観光列車「京とれいん雅洛」や転換クロスシート車両9300系は導入しているが、指定席車両は導入されていない。今後、JR西日本や京阪電気鉄道の流れを受けて阪急電鉄が指定席車両を設置するか否かに注目していきたい。
(フリーライター 新田浩之)