高齢者医療費、「2割負担」どこで線引き? 財務省と厚労省、経済界と医療界...それぞれの綱引き

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   75歳以上の「後期高齢者」が支払う医療費の自己負担引き上げを巡る議論が本格化している。

   コロナ対策を「大義名分」に歳出圧力は強まる一方だが、借金頼みには自ずと限界があるだけに、菅義偉政権で最初の予算編成となる年末の2021年度予算案決定に向け、新政権の政策スタンスを測る試金石になりそうだ。

  • 医療費負担をめぐる議論が進む
    医療費負担をめぐる議論が進む
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財務省は「可能な限り広範囲で」

   現在、75歳以上の後期高齢者は約1700万人。病院の窓口で払う自己負担額は、実際にかかった医療費の1割が原則で、70歳未満(3割負担)や70~74歳(2割負担)より低く抑えられている。この高齢者の医療サービスを賄うため、現役世代の保険料負担は年々上昇し続けている。

   前の安倍晋三政権は2019年12月に全世代型社会保障検討会議の中間報告で、医療費の負担を年齢ではなく経済的な能力に応じた額に改革することを打ち出し、一定所得以上の人の負担を1割から2割に引き上げることを決めた。どの所得層を2割負担にするかという範囲を2020年末までに決め、2022年度から実施する予定だ。その意味で、2021年度予算編成そのものではないが、関係法案を2021年1月召集の通常国会に提出する必要があり、全世代型社会保障検討会議での議論と並行し、予算編成過程で決めることになる

   現在、後期高齢者でも「現役並みの所得」(単身世帯で年収383万円以上)がある人は3割負担になっているが、こうした高所得者は後期高齢者全体の7%程度にとどまる。残りの9割余りのうち、どこで2割負担の線を引くかが焦点だ。

   財務省は「可能な限り広範囲で2割負担にすべきだ」と主張しており、検討されているのが「住民税非課税」での線引き。この非課税の低所得世帯は後期高齢者全体の40%の685万人おり、これと高額所得層を除く全体の5割超の900万人を2割負担にしようというのだ。

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