氏名公表、各社で判断分かれる
全国で持続化給付金や支援資金の不正受給が相次いでいる。沖縄タイムスは9月12日のウェブ記事で「税理士事務所に"行列" コロナ給付金不正キャバクラなどに情報出回る 『若い女の子やアジア系外国人がひっきりなしに』と問題の深刻さを伝えていた。
牧志容疑者の一件は大規模の詐欺事件に発展する可能性もある。逮捕を受け、大手メディアのウェブ版の多くは実名で報じ、「FNNプライムオンライン」(フジテレビ系)、「TBS NEWS」は顔の映像も使用している。
地元の主要メディアでは、琉球朝日放送(テレビ朝日系)、琉球放送(TBS系)が実名。沖縄テレビ放送(フジテレビ系)、琉球新報、沖縄タイムスは匿名と社によって判断が分かれた(15日調べ、いずれもウェブ記事)。
沖縄タイムスは11月14日、「ネット上の匿名報道についてのご説明と題した記事を配信し、牧志容疑者を匿名にした理由を説明している。
同紙では実名報道を原則としているが、事件・事故報道は紙面では実名、ウェブサイトなどでは匿名を基本としているという。
「インターネット上では、一度掲載すると情報が広がって長く掲載され、すべてを消すことは困難です。逮捕で容疑者を実名で報じた後、不起訴や裁判で無罪になったりするケースもあることや、刑期満了後もネット上に長く残り続けることで、当事者が不利益や迷惑を被る恐れがあります。また、近年は『忘れられる権利』の訴えも一部で認められるようになりました」
一方、ネット記事でも政治家などの公人や、有名人の事件・事故については実名で報じるケースもあると注記する。そのほか、「多くの犠牲者がでるなど社会に甚大な影響を及ぼすような殺人や連続強姦、放火、子どもが巻き込まれるような重大事件」も実名を検討する。
「こうしたネット上の特性を踏まえ、事件・事故の報道は匿名を原則とし、容疑者の顔写真も掲載してきませんでした。このような基本方針に基づき、今回の弊社元社員の逮捕については、ネット上では匿名報道としております」
沖縄タイムスの報道姿勢に対し、ネット上では「そういう対応を世の中じゃダブルスタンダートっていんじゃない?」「今後もう紙面で『身内に甘い』という言葉は使えないね」などと不信感を表明する意見が目立つ。