三菱重工自体の業績も苦しく...
2024年以降の事業再開への道のりは厳しい。最大市場の米国は、コロナ禍で小型旅客機を運航する国内路線が打撃を受けている。日本国内も、スペースジェット25機を納入する予定のANAは2021年3月期に5000億円規模の最終赤字に転落する見通しで、保有機体の削減など構造改革を迫られている状況で、スペースジェット導入計画を見直す可能性が指摘される。
スペースジェットの開発費を生んできた三菱重工本体の業績も新型コロナで苦しい状況だ。2020年3月期はスペースジェットの損失計上で、営業損益は20年ぶりに295億円の赤字に転落し、2021年3月期も営業利益はゼロの見通し。米ボーイング向け航空部品事業なども需要の低迷が続き、中期計画では、固定費削減のため2023年度までに国内外で5000人規模の配置転換や人員削減を実施することも打ち出した。ガスタービンの高度化など脱炭素技術を中心に、次世代エネルギーなどに投資する考えだが、収益の柱に育てるには時間がかかる。
スペースジェットの視界は、容易に開けそうにない。