岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「トランプ支持者」は今、何を思っているのか(前編)

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新しい大統領の支持呼びかけるユダヤ教聖職者

   ペンシルベニア州のトランプ支持者集会に一緒に行った正統派ユダヤ教徒のデビーも、トランプ氏に投票した。「バイデン勝利」に街中が湧き立ったあの日、どこで何をしていたか、聞いた。

   「家にいたけど、この辺りは静かなものだったわ」という。

   デビーら正統派ユダヤ教徒は同じ地域に集まって暮らす。ユダヤ教徒全体ではトランプ氏を支持していない人たちも多いが、正統派ユダヤ教徒の9割はトランプ氏を支持しているとも言われ、デビーの夫も4人の娘たちも皆、トランプ氏に投票した。

   だから、その辺りはお通夜のようだったのかと思いきや、あの日は土曜日で、前夜からその夜まで安息日だったのだ。安息日には電気を使わないので、テレビも携帯電話も見ない。

「その夜、『大統領は決まったのかな?』『ああ、バイデンになったのね』。それで大統領選についての会話は終わりだったわ。選挙は生活のごく一部で、生きていくためにほかにいろいろやることがあるのよ。これも神の計画でしょう。ラビ(ユダヤ教聖職者)も、『新しい大統領を支持しよう』と呼びかけていたわ」

   あまりにあっさりしているので、拍子抜けしてしまった。

   中西部ミネソタ州に住む、トランプ支持者の知人アンドリューとも話した。

「今回の結果はとても残念だけど、票を数え直しても結果は変わらないと思う。最高裁に持ち込まれて、万が一、これが逆転したら、混乱が起きることを恐れて、共和党系の判事でも反対票を投じる人が出てくるだろう」

   4年前のトランプ大統領の就任式をテレビで一緒に見たロブ(フロリダ州在住)は、「日本に移住したいよ」と笑った。

「この結果には、とてもがっかりしているよ。いろいろな情報が飛び交っていて、正直、何を信じていいのか。不正が行われたかどうかは、わからない。ただ、トランプに投票した人たちのためにも、法的に闘うことは支持したい。
もし何らかの問題があったとしたら、それを正すことは、今回の結果に変わりはないとしても、これから先の大統領選のために必要なことだ。トランプが勝つ可能性は、かなり低いと思う。楽観できるのは、少なくとも上院は共和党が過半数を維持するのではないかということ。そうなれば、極左の意見は通りにくいだろうと思う」
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