迫られる「次世代技術の開発で多額の投資」
自動車需要の回復の恩恵は他メーカーにも及んでおり、ホンダも2021年3月期の連結営業利益の予想を従来の2000億円から4200億円に引き上げた。こうして販売環境は好転しているものの、地力に劣るメーカーは依然として赤字を予想している。カルロス・ゴーン前会長が進めた拡大路線の弊害でコロナ禍の前から業績が低迷していた日産自動車は、年間販売台数見通しを412万5000台から416万5000台に引き上げ、売上高と損益を上方修正したが、営業損益の予想はなお赤字(3400億円)に沈んだままだ。
日産と連合を組む三菱自動車に至っては、年間販売台数の見通しを当初計画の84万5000台から82万4000台に引き下げた。主力市場とするインドネシアやフィリピンではコロナ禍からの回復が遅れているためで、1400億円の営業赤字見通しを据え置かざるをえなかった。コロナで業績の二極化が鮮明となる自動車メーカーは、業績が回復したとしても次世代技術の開発で多額の投資を迫られている。業界の更なる再編も予感させ、文字通りの生き残りを懸けた競争が激しさを増している。