憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正をめぐり、国民民主党の玉木雄一郎代表は2020年11月12日の定例会見で、ネット広告規制や、外国人寄付規制などに関する議論が継続されることを前提に、採決に応じて賛成する意向を明らかにした。
与党は今国会での成立を目指すが、野党の多くは慎重姿勢で、早々に条件付き賛成を決めた国民民主の対応が際立つ形になっている。
改正項目は洋上投票の拡大や大型商業施設への共通投票所設置などだが...
改正項目は洋上投票の拡大や大型商業施設への共通投票所設置など7項目で、2016年の公職選挙法の改正内容を国民投票法に反映させる内容。18年6月の通常国会に提出されたが、野党は
「改憲を行うための法律である同法を改定する理由は、全くありません」「改憲議論の『呼び水』にしようという狙いは明らか」(5月30日、しんぶん赤旗)
などとして実質的な議論が進まず、7国会にわたって継続審議になったという経緯がある。
自民党の森山国会対策委員長と立憲民主党の安住国会対策委員長が20年11月12日に国会内で会談し、今国会で衆院の憲法審査会を開いて改正案の取り扱いも含めて議論を進めていくことで合意した。
森山氏は「早期成立を目指して努力したい」と今国会での成立を目指す一方で、安住氏は
「静かな環境の中で少しずつコンセンサスを作りながら丁寧にやっていくということだ。コンセンサスの得られないことはなかなかやらない、やれないのではないかと思うので、それ(コンセンサス)ができれば丁寧にやっていくということになると思う」
として、早期採決には慎重姿勢だ。
「結論も出さずにズルズルするのは、本当に立法府の在り方としていいのか」
玉木氏は記者会見で、憲法審査会が開かれることを歓迎した上で、改正案について
「今の公選法並びで改正しようとする7項目の改正については、反対するものではないので、これは賛成したい。ただ、審議の中で明らかになってきた、ネット広告規制をはじめとした広告規制、旧国民民主党の時から提案している、外国人の国民投票運動に対する寄付規制、こういったことをしっかりと議論して、追加の法改正を行っていかないといけない」
「合意できるところは合意して採決をして、その先きちんと議論されるということが文書で担保されるのであれば、必ずしも同時並行でやらなきゃいけないとか、そういうところは求めていない。きちんと文章なりあるいは憲法審査会長なりの明確な議事録に残る発言等々で、しっかりと残りの国民投票法の課題については議論を継続するということをきちんと担保していただければ、7項目については採決に応じることはやぶさかではない」
などと述べた。ただ、20年6月に閉会した通常国会でも、早期成立をめざす与党と広告規制を求める野党とが折り合わせず成立を断念した、という経緯がある。広告規制などに関する継続審議を実質的に確約できるかが課題になりそうだ。
玉木氏は、これまで実質的な審議が進んでこなかったことについても疑問視した。
「国民投票法はそもそもお経読み(趣旨説明)もしているのに、それについて結論も出さずにズルズルするのは、本当に立法府のあり方としていいのか。別に無理して進めろ、というのではなくて、そもそも通常行われることが行われていないので、そこは、与党の責任も重いと思う。そうやってきちんとスケジュールを立てて...。見込みがないんだったらお経読みしなけりゃいい」
改正案をめぐっては、日本維新の会が今国会での採決を求める一方で、社民党は「私たちは付き合う必要は一切ない」としており、野党の間でも対応が分かれている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)