フジテレビ系列のネットメディア「FNNプライムオンライン」が2020年11月11日に公開した記事「バイデンは融和を求める素晴らしい次期大統領で、トランプは負けを認めないひどい奴、というストーリーは本当なのか」が、12日までに削除された。
執筆したのは、フジテレビ報道局上席解説委員の平井文夫氏。削除前には、記事に誤りがあったと訂正していた。
「このサイトは怪しいものではない」
記事では、バイデン氏の勝利が確実視されている米大統領選に関し、自身が見聞きした次の"ニュース"を紹介した。
「トランプの奴、いったいいつまで粘るつもりなんだ、と思っていたら昨夜面白いニュースが入ってきた」
「世論調査サイトの『リアルクリアポリティクス』がペンシルベニア州でのバイデンの当確を取り消した結果、バイデンの獲得選挙人は259人となり、過半数の270人を下回ったというのだ。このサイトは主要メディアがよく引用しているので怪しいものではない」
平井氏は選挙で不正が行われた疑いがあるのであれば、「再集計するのは当然のことだ」と指摘した。
だが、しばらくして、"ニュース"の紹介箇所は削除された。記事末尾に訂正が入り、「これはトランプ側近のジュリアーニ元NY市長のツイートをもとに書いたものですが、リアルクリアポリティクスはもともとペンシルバニア州でバイデンの当確を出しておらず、従って獲得選挙人は259人で過半数を超えていませんでしたので、その部分を削除します」と説明した。12日までには、記事自体が消えた。
まとめサイト「アノニマスポスト」通じて拡散
トランプ氏の個人弁護士で元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏は10日(日本時間、以下同)、ツイッターで「フェイクニュース(サイト)は(ペンシルベニア州の都市)フィラデルフィアで30万票以上の不正な民主票を無効にする訴訟を取り上げない。リアルクリアポリティクスはバイデン氏からフィラデルフィア(の当確)を消し、五分にした」などと投稿していた。ツイッター社はこの投稿に「選挙の不正行為に関するこの主張は議論の余地があります」と警告ラベルを表示している。
この主張は、日本でもまとめサイト「アノニマスポスト」などを通じて拡散された。
しかし、リアルクリアポリティクスの創業者の1人であるトム・ベバン氏は10日、ジュリアーニ氏の前述のツイートを引用し、「これは誤り。ペンシルベニアに当確を出した事実はなく、変化は何もない」と注意喚起している。
(11月12日18時)記事の一部を修正しました。