楽天の「監督去就問題」が注目されている。今季から就任した三木肇監督は2年契約の1年目。本来ならば来季も続投の予定だったが、55勝57敗8分とクライマックスシリーズ進出はならず、2年ぶりのBクラスが決定したことで雲行きが怪しくなった。
楽天のスポーツ紙番記者はこう語る。
「カリスマ性を持った監督」求める声
「球団内で三木監督を生かせるポジションがどこなのかという議論になっているそうです。コーチ経験が豊富なことから育成能力に長けて人心掌握術も巧いですが、今年の楽天は一体感がないように見えた。浅村栄斗、鈴木大地、涌井秀章、ロメロ、牧田和久と目立ったのは他球団から移籍した外様の選手ばかり。ドラフト1位で入団したルーキーの小深田大翔の活躍は大きな収穫でしたが、生え抜きの選手たちの名前が出てこないのが寂しい。選手を束ねられるカリスマ性を持った監督が長期政権でチーム作りをした方が良いように感じます」
石井一久GMが18年9月から編成部門を統括する責任者として就任以来、派手な補強を敢行しているが、結果に結びついているとは言えない。18年に監督代行を務め、昨年は球団の生え抜きで史上初の監督に就任した平石洋介(現ソフトバンク1軍打撃兼野手総合コーチ)が前年度の最下位から3位に躍進したにも関わらず1年限りで退任した際は、楽天ファンから石井GMに反発の声が殺到した。
新監督にヤクルトでチームメートだった三木監督を2軍監督から抜擢し、13年以来7年ぶりのリーグ優勝を狙った今季だが、接戦での弱さが目立った。
真中満氏の名前も
1点差試合は11勝15敗と負け越し。逆転負けは32試合とリーグワーストだった。前出のスポーツ紙番記者は「勝つ時は派手に打って圧勝するけど、負ける時は『ここぞの場面』で1点が取れない。三木監督は走塁改革を唱えていましたが、盗塁数はリーグワーストの67。もちろん盗塁数だけで機動力を測れるものではないですが、昨年から劇的に変わったイメージはない。ベンチワークに物足りなさを感じたのは確かです」と辛らつだ。
では、来季の監督は誰になるのだろうか。マスコミの間で有力候補としてささやかれているのが、元ヤクルトの古田敦也氏だ。現役時代にバッテリーを組んでヤクルトの黄金時代を築いた石井GMと気心知れた仲として知られている。06年に選手兼任監督で話題になったが、1年目は3位で、翌07年は最下位に低迷して辞任。以来13年間ユニフォームを着ていないが、球界屈指の頭脳に監督待望論は根強い。
また、元ヤクルト監督の真中満氏も気になる。ヤクルトの監督で就任1年目の15年に14年ぶりのリーグ優勝に導いた。現在の楽天で三木監督、野村克則作戦コーチ、伊藤智仁投手チーフコーチと3人が当時の真中政権で1軍コーチングスタッフに名を連ねている。チームの方向性を大きく変える必要がないのはメリットだ。
もちろん、三木監督が2年契約の最終年で続投の可能性も十分にある。石井GMに対する楽天ファンの風当たりも強くなっていることから、来季は大きな分岐点になりそうだ。