大統領選よりコロナ対策
では、米大統領選後の為替と株価のゆくえは、どうなるのか――。
米大統領選の投票の翌、11月4日付の楽天証券「トウシル」は、「米大統領選、ドル円はどちらに動く? 個人投資家は『円高』予想が半数占める」で、
「マーケットはすでにバイデン氏勝利を確信しているよう。バイデン氏の景気対策は米国の金利上昇につながり、日米金利差拡大では『ドル高、円安』。しかし、投資家心理の改善いわゆるリスクオンは『ドル売り』というのが最近のはやりなので、その体でいくなら『ドル安、円高』となります」
と予測した。楽天証券が10月末に実施した調査によると、個人投資家の50%が、11月のドル円相場は「ドル安円高」に動く(ドル高円安」は26%)と予想していた。
野村證券投資情報部のエクイティ・マーケット・ストラテジスト、小高貴久氏は同日付の動画「ストックボイス」で、日本株はやや上昇基調にあるが、今後は米大統領選の結果にかかわらず、「新型コロナウイルスの対策が決まってくることが大事で、そのことが株式市場にプラス材料になる」と指摘した。
ポイントは4つ。
(1)欧米の新規感染者数は急増しているものの、死亡者数の推移をみると春ごろと比べてダメージが軽減され、医療崩壊を起こすようなほどではないことから、配慮しながらも経済を前に進めることができる。
(2)企業業績、なかでも米ナスダックの重要性が高まっている。テクノロジー分野を中心にビジネスの拡大が続いており、来年以降もテクノロジー企業への期待度が高い。
(3)追加の金融緩和を含め、この流れが続くことで株式市場への資金流入が見込め、引き続き株価の下支え要因になる。
(4)日本の景気は回復基調にある。輸出数量のマイナス傾向が縮小、なかでも中国向けは拡大しており、海外主導の企業業績の回復は続いている。中国景気は米大統領選に左右されない。中国の景気回復により、業績を上方修正する企業もある。
こうしたことから、米国株の上昇につれて、日本株も上昇する流れがあるとみられる。