岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「バイデン勝利」クラクション鳴り響くNY

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トランプ支持者はどこで何を思うのか

   観光名所のタイムズスクエアも、夜中まで沿道に大勢の人たちが集まり、通り過ぎる車のクラクションが鳴り続けていた。バスドライバーが窓から顔を出し、「Go, Joe!(行け、ジョー!)」と叫ぶと、皆が声を立てて笑った。

   半日、ニューヨークの街中で過ごして、私はどれだけの数の笑顔を見ただろうか。これほど人々がハッピーに見えた日が、あっただろうか。ある女性は、「今日は2020年で最もハッピーな日」と私に語った。

   コロナ真っ盛りのニューヨークなのに、コロナの前に、平常に、戻った。他人に心を開き、すぐに会話が始まる、私の大好きなこの街に、久しぶりに戻った。そんな思いでいっぱいになった。

   多くの人がトランプ氏に嫌悪感を抱いているこの街で、彼の存在が人々をこれほどまでに抑圧していたことを、改めて思った。

   しかし、そのトランプ大統領は、この選挙は不正だとして、「バイデン勝利」を認めず、法廷闘争に訴える姿勢を崩していない。

   ニューヨークにはトランプ支持者などまるでいないかのように、人々は振る舞っていた。最も多く耳にした言葉は、「Fuck Trump!」だった。

   これまでニューヨークで出会ったトランプ支持者たちや、トランプ支持の私の友人たちはこの日、どこで何を思っていたのだろう。

   夜、ふと見上げると、エンパイア・ステート・ビルが、星条旗色の青、白、赤に輝いていた。(随時掲載)

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

 
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