岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「バイデン勝利」クラクション鳴り響くNY

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「バイデンが勝利したと知って、泣いた」

   セントラルパークの南西に接する「コロンバス・サークル」の広場は人で埋め尽くされた。「You're Fired!(お前はクビだ!=以前、トランプ氏が出演したテレビ番組の決めぜりふ」のサインや「バイデン・ハリス」の旗を掲げ、喜びに浸っていた。

   トランプ氏のお面を被り、全身オレンジ色に身を包んだそっくりさんは、広場を歩き回りながら「バイバイ」と皆に別れを告げ、笑いを取っている。

   30代の看護士の女性は、「ニュースで知って、3分後にはここにやってきたわ。みんなと分かち合いたかったから」と話す。

   スピーカーを通してどこかから、外国語なまりで「トランプ、サヨナラ」という日本語が聞こえてきた。

   この近くの沿道で、通り過ぎる車の窓から、手に持った花束の花を1輪ずつ、差し出している青年と若い女性がいた。

   「喜びを分かち合いたくて、買ってきた」と2人が言った。

   若者が多く集まるビレッジの「ワシントンスクエアパーク」には、これまで見たこともない数の人たちが集まり、シャンパーンやビールで乾杯している。私も頭から、シャンパーンを被り、びしょびしょになった。音楽に合わせて深夜まで踊り歌い、体中で喜びを表現していた。

   この公園の近くで、アパート前の階段に座り込んで乾杯していた人たちは、隣近所の仲間だという。道行く人たちが次々と彼らに向かって手を振り、歓声をあげている。

   階段でワイングラスを手にしていた男性(57)は、バイデン氏が勝利したと知って、泣いたという。

「あれからずっと泣いているよ。トランプは僕らの国の象徴じゃない。僕らはトランプのような、人種差別主義者でもなければ、いじめっ子でもない。他人に寛容だ。これからまた、この国が、僕の好きな国に戻れる気がするよ」
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