「となコス」で知られる「コスプレ博」、10か月ぶり再開へ 厳しい経営下でもモチベーションになったのは?

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   コスプレ博実行委員会(勇者屋)が開催するコスプレイベント「コスプレ博」が2020年12月20日、感染症対策を徹底したうえで約10か月ぶりに帰ってくることとなった。

   コスプレ博の歴史は長く老舗のコスプレイベントとして知られ、従来はほぼ毎月、主にお台場会場施設で開催されていた。中でも、世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」(以下コミケ)の開催に合わせて行われる「となりでコスプレ博inTFT」が大人気で、コミケ会場である東京ビッグサイトに隣接する「TFTビル(東京ファッションタウンビル)」(東京都江東区)に約1万人が集い、コスプレやその撮影に興じていた。しかし20年はコロナ禍のため、3月以降は中止を余儀なくされていた。

    J-CASTニュースは10月末、コスプレ博対外担当の南さん(コスネーム)に、これまでの沿革や現状についてメールで話を聞いた。

  • コスプレ博のホームラウンドのような存在となったTFTビル
    コスプレ博のホームラウンドのような存在となったTFTビル
  • コスプレ博のホームラウンドのような存在となったTFTビル

「南さん」はダンボール造形系コスプレイヤー

   南さんは、コスプレイベント専門のイベント運営会社である「有限会社C-NET」の代表を務めている。コスプレイヤーでもあり、ダンボールでロボや戦車などを造形しているという。ツイッターでは「コスプレNEWS」(@cosplay_news01)というアカウントでコスプレ関連の情報発信も行っている。

   当時はまだ少なかったコスプレ参加可能な即売会が増えてきたことをきっかけに1995年、そうしたイベント情報をまとめた同人誌「月刊イベント情報誌C★NET」の発行を開始した。2000年からは「C-NET」としてイベント団体とコスプレイベントを共催し、中でも「勇者屋」と共催するコスプレ博が軌道に乗り、各地の会場や遊園地でイベントを開催するようになったと語る。

   南さんによると、後にコスプレ博のホームラウンドのような存在となる「TFTビル」でイベントを実施するようになったのは2001年。このような大型施設を利用する為に、有限会社C-NETを設立した。02年からは好評だった「コスプレ博inTFT」の特別版として、コミケ日程に合わせて「となりでコスプレ博inTFT」(通称となコス)を開催した。となコス開催以前にも、コミケ隣接イベントはあったものの、いずれも振るわず。そんな状況下であったため、赤字覚悟で開催していたものの、現在は夏冬毎回1万人前後が参加するビッグイベントにまで成長した。

   これ以降、コスプレ博は東京ジョイポリス、東京国際交流館 プラザ平成、テレコムセンタービルなどのお台場の会場施設を中心にほぼ毎月何らかのイベントを開催してきていた。

「会社経営的には厳しかったが、開催意欲は維持してきた」

   しかし新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、コスプレ博は2020年2月末までは開催できたものの、コロナ感染が急激に拡大したことを受けて翌3月からの開催予定は全て中止となった。南さんは、新型コロナウイルス感染症の拡大がコスプレ文化に与えた影響についてこう語る。

「当社だけでなく、ほとんどのコスプレイベントが長期休止した事で、発表や交流の機会が失われ、コスプレイヤーの参加意欲・継続意欲が低下してしまった事が最大の影響。
この期間にコスプレを止めてしまった人も少なくないのですが、この期間に始めた人は僅かなので、現在のコスプレ人口は減少していると思われます。はたして、今後どこまで回復して行くか。状況回復の為には参加しやすいイベントを続けていくしかない、と思っています」

   そして秋現在、社会活動が再開する流れになり、コスプレイベント再開の要望も強くなってきた。同人やコスプレにおいても、地方や小規模のイベントの再開が進んでいる。こうした状況を受けて、コスプレ博実行委員会は10月21日、イベントを実施すると発表した。次のイベント開催日時は12月20日で、約10か月ぶりとなる。会場はTFTホール。参加方法については今後、公開予定だとしている。

   南さんは、イベント収入が途絶えたので会社経営的には厳しかったが、開催意欲は維持してきたと語る。そのモチベーションとなっているのは、人との交流への渇望だ。

「今は、ネット上でコスプレを発表する事もできますが、やはり、リアル(会場)で披露し、見て、撮って、交流するのが一番楽しいと思います。感染対策しつつこれからもリアルの交流を楽しんでもらえたら、と思います」

12月開催に向けての抱負

   コスプレ博は、政府・都・会場施設の定める感染拡大防止ガイドラインに基づき、感染対策を講じた上でイベントを開催する。公式サイト上には、「コスプレ博実行委員会 感染拡大予防ガイドライン」を打ち出し、主催者側の対策や参加者へのお願いを掲示している。

   南さんは、今後のイベントへの抱負をこう述べる。

「今回(12月)が無事に開催できれば、来年の開催も続けていけると思います。安定して開催し続けていきたいですね。まだしばらくは、主催側でも様々な感染対策をし、参加する皆さんにも協力してもらいながらの開催となるかと思われます。 マスク着用、検温、密回避など、お手数をおかけしますが、引き続き感染対策のご協力をよろしくお願いいたします」
「また、来年は、定番のホール系イベントに加え、コロナで厳しい状況になっている商店街やショッピングモール、レジャー施設、公共施設などでもコスプレイベントが開けたら、と考えています。参加者さんからは、ロケーションが良く楽しいイベント会場が求められていますし、会場側にも話題性があり活性化にも繋がると思います。ご興味のある事業者の方はぜひ一度御相談下さい。」

   そして、コスプレやその撮影を楽しむ人々に向けてはこう述べた。

「12月20日のイベントは、クリスマスイベントでもあり、年末の挨拶イベントでもあり、『冬のとなコス』(冬のとなりでコスプレ博)のかわりでもあります。久しぶりにコスプレイベントに参加して友達と楽しんでみて下さい。ぜひぜひ参加してみて下さいね」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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