どうなる島忠経営陣の判断
実は、島忠は、ニトリのキャッチコピーを借りて言えば「お値段以上」の割安案件とされる。DCMの買収価格(1株4200円)は最大1636億円。直近の株価に4割超上乗せしたが、島忠の純資産は8月末時点で1815億円あり、DCMが計画通り買収した場合、「負の暖簾(のれん)代」が200億円近く発生する計算になる。島忠は旧村上ファンド系の「もの言う株主」であるシティインデックスイレブンスが発行済み株式の約8%、英投資ファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズが約5%を保有しており、シティインデックスイレブンスは「買い手候補を広く募るべきだ」と批判してきた経緯もあり、ニトリが名乗りを上げたことを評価している。
他方、ニトリの買収金額は最大で約2100億円だが、手元資金が2300億円あり、財務的な余裕はある。
今後の展開では、まず島忠がニトリの提案にどう答えるかが注目点だ。経営者は株主への義務として最適な売却先を選ぶ必要があり、仮にDCMのTOBへの賛同を維持し、ニトリの提案に反対する場合は、合理的な説明が求められる。
その際、DCMのTOB価格を引き上げるかも焦点だ。株主は基本的に高額で買い取る先に売るだろうから、1株4200円のままで勝ち目はない。価格引き上げ合戦になった場合の「体力勝負」という点でも、現状ではニトリが有利といえそうだ。