「世論調査もマスコミも、もう信じていない」
ニューヨークのセントラルパークの南にトランプ氏が所有する「トランプ・パーク」と呼ばれるコンドミニアムがある。その前に立っていた50代くらいの女性に聞いてみた。このトランプ所有のビルに住み、裕福そうだから、トランプ支持者かもしれない。
「バイデンに勝ってほしいわよ。このビルの名前から『トランプ』を削除する運動をしている」という。
「4年前にどれほど驚き、ショックだったことか。ヒラリーが勝つって、何の疑いもなかったんだから。ニューヨークは翌日、お通夜みたいだったわ」
「世論調査もマスコミも、バイデン優勢と伝えているけれど」と振ってみると、「世論調査もマスコミも、もう信じていないわ。4年前だって、選挙寸前まで、ヒラリー優勢だって言っていた。世論調査やマスコミを信じ切っていたから、痛い目にあったのよ」
そして、「残念だけど、トランプが勝つ気がする。トランプ支持層は厚いわ。コロナでこれだけ死者が出ても、彼らはトランプのせいだと思っていない」と言う。
地下鉄のホームを清掃していた30代くらいの黒人女性にも、同じ質問をしてみた。
「どっちが大統領になっても、黒人のために何かしてくれるわけじゃない。バイデンになったら、税金が上がると思って、トランプにするっていう人もいる。私はバイデンも好きじゃないけど、どっちか選ばなきゃならないから、2人の悪人のうちのまだましな方、バイデンに投票するわ」
「勝つのは?」と聞くと、やはり迷わず「トランプ」と答えた。
それでも、マンハッタンのマジソンスクエアガーデンで期日前投票するために並んでいた人たち10人ほどに聞くと、「トランプに投票する」と答えたのは、男性1人だけ。あとは皆、バイデン氏だった。
チャイナタウンで土産店を経営するインド系アメリカ人(30代)など、自分でビジネスをしている人の中には、トランプ氏を支持する人も少なくない。
そして、ニューヨーク市クイーンズ区の高級住宅地で話した人たちにも、トランプ支持者が半数以上いた。
この日はハロウィーン(10月31日)だった。コロナ感染予防のために、キャンディを2メートルくらいの筒の中に入れて下に落とし、子供たちにあげていた家族が2組いた。1組はトランプ支持、もう1組はバイデン支持だった。
そこですれ違った公立校の副校長だという女性に、「トランプを支持するか」と聞くと、「私の母親は支持者よ」と答える。自分の意見は避けてそう答える人は、たいてい「隠れトランプ」で、彼女もそうだと認めた。
「でももちろん、学校ではそんな話はできないわ」と言う。
女性も含め、この地域で話したトランプ支持者らも皆、「トランプが勝つ」と答えた。