食用塩「赤穂の天塩」の公式ツイッターアカウントは2020年11月1日、「天然塩は塩業界では死語です」とツイートした。これは、「天然塩」の効能について触れた報道に対する反応だが、「天然塩」は食用塩公正競争規約において使用を禁じられた用語であるという。
J-CASTニュースは、赤穂の天塩公式アカウントを運営する「中の人」に、天然塩にまつわる誤解についてメールで取材した。
「天然塩」には明確な定義がない
「天然塩」についての雑誌記事が10月下旬、ニュースサイトで伝えられた。しかし「赤穂の天塩」公式アカウントは、『「天然塩」が最適』といった表現は消費者に誤解を生じると感じたとして、こうツイートしている。
「天然塩は塩業界では死語です。
だって人が作ってるんですから天然とか自然とは言わないですよね。食用塩公正競争規約で使用してはいけない用語になってます」
「赤穂の天塩」は赤穂化成(兵庫県赤穂市)が製造するにがりを含んだあら塩で、天塩(東京都新宿区)によって販売されている。この商品アカウントを運営する「中の人」によると、「天然塩」には明確な定義がないという。
「2008年に食用塩の適正な表示ルールを定めた食用塩公正競争規約が施行されて12年 が経ちます。実は12年前から『天然塩』という用語は規約により塩メーカーは使用していませんが、世間では未だに天然塩、自然塩という用語が使用されています。世間で使用されている『天然塩』『自然塩』という用語には明確な定義がなく、さまざまな意味で使用 されています」
食用塩公正競争規約とは、塩関係の業者によって定められた表示ルール。消費者への公正で正直な情報公開を行うことを目的としており、このような商品表示の審査基準の確立や審査などを行う食用塩公正取引協議会には163社が所属している。同会では、「自然塩」、「天然塩」という名称や天然、自然が塩にかかるような言葉は誤解を生むので使わないで欲しいという消費者要望を受け、「自然塩」、「天然塩」という言葉を禁じている。
また赤穂の天塩の「中の人」は、「天然」という語は加工食品である食用塩には当てはまらないと述べる。