2020年11月3日の米大統領選を直前に控えた混乱のなか、アメリカ人は祈っている。「祈る思いでいる」だけでなく、実際に祈りを捧げ、断食を続ける人たちもいる。このところ、全米でトランプ支持者と反トランプ派の衝突が激しくなっている。
ニューヨークなどの都市では、店の正面をベニヤ板で覆い、警察のシフトを変え、選挙後に起こり得る暴動に備え、着々と準備が進んでいる。緊張が増す今の米国の様子を、ニューヨークの街から伝えたい。
トランプの再選に祈り捧げるクリスチャン
「友達は皆、10月半ばからずっと、断食している。私は体が弱いから断食はできないけれど、毎日朝晩、トランプの再選を神に祈っているわ」
数週間前、ニューヨーク市のクィーンズ区に住む友人フリーダが言った。彼女とはマンハッタンにあるプロテスタントの教会で知り合った。私も洗礼を受けているが、彼女は私とは違い、毎週欠かさずに礼拝に参加する敬虔なクリスチャンだ。今は新型コロナウイルス感染予防のために、礼拝はすべてオンラインだ。
彼女はホームレスの人たちや身寄りのない高齢者のために、身を粉にしてボランティア活動をしてきた。
彼女は信条的に「人工妊娠中絶」や「同性愛」を受け入れることができない。
同性愛については、「神は、同性愛の人たちも、私たちと同じように愛している。でも『同性愛』そのものは罪だから、悔い改めなければならない」と信じている。
トランプ氏の支持基盤とされるキリスト教福音派の中にも、同じように考える人は多く、牧師がトランプ支持を信者に公言し、ともに祈りを捧げることもある。
カトリック教会も、人工妊娠中絶に反対の立場だ。ジョー・バイデン氏がカトリック教徒でありながら、これを容認していることなどから、カトリック教徒の有権者で民主党を支持するのは51%にとどまっている。
あるカトリックの神父が説教の中で、「あなた方はアメリカ人である前に、カトリック教徒であることを忘れずに、投票してください」とバイデン氏とカマラ・ハリス氏を批判する動画がネットで流れ、多くの信者の共感を呼んだ。