「トランプは面白いから大好き」
会場から「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」「マッチョマン」などと流れる音楽に合わせながら、陽気に歌う人々の声が流れてくる。しばらくすると、あちこちから大歓声と拍手が沸き起こった。
そして、トランプ氏の生の声が聞こえた。
「ありがとう、アレンタウン。あと8日で我々は勝利をつかむんだよ」。そう呼びかけると、真っ先に石油産業に触れた。
「バイデンは、米国の石油産業を廃止する計画があると認めた。つまりペンシルベニアの家族には、もう仕事もエネルギーもなくなる」
会場から一斉に、ブーイングが起きた。
「今も会場の外で多くの人が、中に入れずに待っているんだよ」というトランプ氏の声に、私の周りで人々が一斉に、「Let us in!(中に入れて!)」と繰り返す。
それから20分ほど待っただろうか。どうやら会場に入れるようだ。手荷物検査の所で、ともに星条旗付きのハットを被った女性高校生2人に出会った。隣のニュージャージー州から駆けつけた。
その1人サマー(17)は、同じくトランプ支持の母親と来ていた。「トランプは面白いから大好き。でも友達は私をレイシストだと決めつけるの」と言う。
そして、「トランプは私たちが銃を持つ権利を守り、警察の予算削減に反対している」と答えると、一目散に友達と会場に走っていった。
野球場のように傾斜になっている観客席は、人、人、人。星条旗や「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」と書かれた旗、「MAGA」の赤い野球帽と赤いマスクで埋め尽くされている。正面右手に「トランプ支持のペンシルベニア労働者」の大きなサインが見える。
トランプ氏は、コロナについては「中国から来たことを忘れないでほしい」と強調しつつ、「ウイルスを真剣に受け止め、国民が安全でなければならない。でもパニックや恐怖に負けてはいけないんだ」と訴える。
そして次のように締めくくった。
「あなたたちのような愛国者が自由のために戦い、石炭を掘り、工場の流れ作業をし、貨物列車に荷を積み、鉄を流し込み、超高層ビルを築き、ファシズムや共産主義を打ち負かし、アメリカを世界唯一最高の国にした。でもベストは、これからだ。パワーをあなたたちアメリカ人の手に戻し、戦い、勝ち続けよう」
そして、大音量で流れるディスコ音楽「YMCA」に合わせて、トランプ氏と支持者らが陽気に踊りながら、会場を去っていった。