事業分割を含む提言も
司法省が2019年から調査を本格化させたが、特に巨大IT企業が民主党寄りだとトランプ政権が不満を募らせたことが、提訴を急がせたとの見方もある。司法省とともに提訴に加わった11州の司法長官がいずれも共和党系であることも、党派的判断との疑念を抱かせる。他方、民主党が多数の米下院司法委員会も10月6日の報告書で、GAFAに対し事業分割などを含む提言を出しており、規制論は今や民主・共和の壁を越えて広がっているのも確かだ。
米巨大ITを巡っては、欧州連合(EU)の欧州委員会が2018年、グーグルが優越的な地位を悪用した競争法(独禁法)違反を認定し、43億4000万ユーロ(約5400億円)の制裁金を科し、グーグルは不服として裁判で争っている。グーグルは欧州委の決定を受けて2019年に初期設定の検索サービスを選べる方式にしたが、大きな変化はないという。一度確立した独占体制は容易に崩せないという経済学の法則を地でいく形で、分割論など実効性ある措置を求める声がくすぶり続ける。
日本の検索サービスは、ヤフーも根幹技術の検索エンジンで2010年からグーグルから提供を受けており、実質的にグーグルのシェアは9割以上に達する。政府も規制に動いており、「国際的な動向を踏まえながらルール整備を図っていきたい」(加藤勝信官房長官、21日の会見)と、米国の動向を注視しながら規制の検討を進める考えだ。