20年前のMS係争と構図が似ている
グーグルが圧倒的なシェアを占めることは、利用者履歴などビッグデータを手中に収め、ライバル社はデータを集められず、いよいよグーグルに対抗できなくなるという、絵にかいたような「独占」が進む。広告もグーグルに出さないと効果はないということで、スマホメーカーに気前よく分け前を払っても、これをはるかに上回る収益を得られるわけだ。
今回の提訴は、20年前のMSを巡る争いに似ている。MSはパソコンのOS「ウィンドウズ」の圧倒的な占有率を背景に、ネット閲覧ソフトとしてMSのインターネット・エクスプローラー(IE)を標準化するなどをメーカーに強制し、「ネットスケープ」などのライバルを駆逐していったというもので、グーグルが検索ソフトなどを強制しているとの司法省の今回の主張と共通する。
MSの係争は1審でMSに分割命令が出され、その後、控訴を経て2002年に和解で決着した。MSが提訴された1998年は、奇しくもグーグル創業の年。そして、MSの和解を受けてウィンドウズOS上に他社製品が搭載しやすくなった状況を生かして急成長したグーグルが、MSと同じ論理で提訴されたのは皮肉だ。
グーグルなどの検索、フェイスブックなどのSNSは消費者には利用料が無料のため独占の弊害が感じられにくく、規制を求める世論が盛り上がりにくい面がある。また、国としては自国企業が「世界制覇」して稼ぐのは良いという意味で、政府が規制に消極的になりがちな面もある。実際、米政権は反トラスト法の適用に消極的だったが、フェイスブックから流出した数千万人分の個人情報が2016年米大統領選で不正利用された問題などを受け、GAFAの強力な市場支配力への警戒が強まった。