全漁連、反対意向を伝える
だが、当然のこととはいえ、漁業者は強く反発する。漁業団体の全国組織「全国漁業協同組合連合会(全漁連)」の岸宏会長は10月15日、加藤官房長官、梶山弘志経産相と面会して反対の意向を伝えたほか、16日には野上浩太郎農林水産相や平沢勝栄復興相らにも「海洋放出すれば風評被害が出ることは必至で、壊滅的な状態になることが危惧される」と、反対を訴えた。
地元の福島県漁連は23日、いわき市で開いた会合で、改めて反対の立場を確認。野崎哲会長は「県漁連として海洋放出には反対の立場であることに変わりはない」と強調し、各漁協からは「10年たっても第1原発の10キロ内に入れないのに、処理水を流されたら、消費者は食べてくれない」などの声が上がっている。
漁業関係者が海洋放出反対を譲らないのは、2015年8月に東電から受けた文書がある。海洋放出反対の県漁連の要望に、広瀬直己社長(当時)が「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留します」と文書で回答している。