大手紙・主要地方紙にコメントしたのは産経新聞「正論」欄のみ
番組では続いて、坂井学・官房副長官による
「ご指摘の報道は承知している。お尋ねは人事にからむということもあり、お答えは差し控えさせていただきたい」
という記者会見での政府答弁を紹介し、直後に
「憲法が専門の百地章・国士舘大学特任教授は、6人が任命されたなかったことについて、『任命拒否はありうる』として、次のように指摘しました」
というナレーションとともに百地氏が登場した。前出の安保関連法案をめぐる経緯は説明されなかった。
百地氏は
「首相の任命権は、学術会議の推薦に拘束されるものではないから、ある程度の自由裁量はある。裁量権を行使して、全体の構成、バランス、政治的中立性等を配慮して、あのような拒否をしたということで、私は妥当だと思っている」
などと持論を展開。
「学問の自由を侵し萎縮を招く」という批判に対しては、
「まったく、私から言わせるとナンセンスであって、学術会議の会員になれなかったからといって学問の自由が侵害されますか?自由に何でもできるわけでしょ?それはちょっと、考えすぎではないか」
と主張した。百地氏がコメントしたのは1分20秒ほど。この日本学術会議に関する項目で、識者として登場したのは百地氏だけだった。
NHKはこの日、「ニュースウォッチ9」直後の「NHK クローズアップ現代+」でも日本学術会議の問題を特集。「ニュースウォッチ9」とほぼ同じ内容の百地氏らのインタビューが流された。
なお、大手紙や通信社、主要地方紙、NHKニュースの記事が収録されているデータベース「日経テレコン」で調べる限りでは、百地氏がこの問題についてコメントしたのは、10月28日付の産経新聞「正論」欄のみ。「内閣には会員任命の拒否権あり」の見出しがついている。さらに、同じく「日経テレコン」で分かる限りでは、百地氏がNHKの全国ニュースに登場するのは、16年12月9日の天皇陛下の退位などを検討する有識者会議のニュース以来、約4年ぶりだ。つまり、NHKは、日本学術会議の問題については1回しか見解を出しておらず、4年近くにわたって自社のニュースに登場してこなかった人物のコメントを、あえて紹介したことになる。