2020年10月26日のドラフト会議で4球団が競合した大学生No.1左腕の早川隆久(早大)の交渉権を楽天の石井一久GMが引き当てた。その瞬間に別室で見守った三木肇監督はスカウト陣と大喜びしていたが、ファンの心をつかんでいるとは言えない。
三木監督は就任当初から逆風にさらされていた。
序盤戦は首位を快走したが...
18年に監督代行を務め、昨年は球団の生え抜きで史上初の監督に就任した平石洋介(現ソフトバンク一軍打撃兼野手総合コーチ)が前年度の最下位から3位に躍進したにも関わらず1年限りで退任。ファンからの支持が高かったが、「二軍統括」のポストを断ってチームを去った。後任に託されたのが石井GMとヤクルト時代の同僚で、楽天の二軍監督から内部昇格した三木監督だった。
昨オフは鈴木大地をFAで獲得し、涌井秀章、牧田和久も加入。オリックスを退団したロメロも獲得するなど派手な補強で話題になった。
優勝候補に挙げられた三木監督就任1年目の今季。開幕して1カ月は首位を快走したが、その後は失速する。9月上旬以降は勝率5割前後を行き来し、優勝争いから脱落した。昨年はリーグワーストタイの48盗塁。三木監督は「走塁改革」を提唱していたが、今季も63盗塁と10月29日時点でリーグワーストと効果が出ているとは言えない。
もちろん走塁は盗塁数だけで測れるものでない。525得点、チーム打率.260はいずれもリーグトップだ。
「昨年、CSまでチームを導いた監督が解任で...」
だが、継投策など采配面に疑問の声が多い。スポーツ紙の遊軍記者は「浅村が本塁打、打点王の2冠を狙える位置につけ、涌井もリーグトップの11勝で最多勝がほぼ当確、鈴木大地も3割台をキープと個々の選手は頑張っていると思います。ただチーム全体として勝負弱く、勝ちきれない試合が多い。選手個々の能力の高さを活かしきれていないように感じます」と分析する。
今月に入り一部メディアで三木監督の「来季続投」が報じられると、ネット上では反発の声が殺到する事態に。「去年の平石監督との扱いの差が酷すぎる。普通の考えだったら、生え抜きでAクラス入りをした平石監督に中・長期政権を任せるんじゃないの?三木監督なんて石井GMが使いやすいだけのような気がするけど。こんなことやっていたら、楽天ファンも離れて行っちゃいそう」、「昨年、CSまでチームを導いた監督が解任で、今季CSの出場権を逃した監督が残留?それはおかしいでしょう。一貫した方針を打ち出して欲しい」などチームの方向性に疑問を呈する意見が目立った。
現在52勝54敗6分の4位で残り8試合。今年はCS出場には2位以内が条件となるが、27~29日の3位・西武との3連戦は1勝2敗。30日から始まる2.5ゲーム差の2位・ロッテとの3連戦は、楽天、そして三木監督の真価が問われる戦いになりそうだ。