「世界の盗塁王」の愛称で知られる野球解説者の福本豊氏は、福岡ソフトバンクホークスの周東佑京選手が連続試合盗塁数を11に伸ばし、自身の持つ日本記録に並んだことを受け、インスタグラムで祝福のコメントを寄せた。
福本氏は「周東選手が走ってるのを見るのが楽しいねん。まるで自分がグラウンドにいるような気持ちになる時もあるしね」と思いを吐露。飾らない人柄で親しまれる福本氏らしい、温かみのある文章だと話題になっている。
『盗塁の秘訣は...まず塁に出ること』やからね」
周東選手は2020年10月28日のロッテ戦に1番ショートで出場。3回に出塁すると二塁への盗塁を決め、福本氏が阪急ブレーブス時代の1971年と74年に打ち立てた11試合連続盗塁の日本記録に並んだ。
周東選手の記録到達を受け、福本氏は29日に自身のインスタグラムを更新。今年1月に撮影されたという周東選手との2ショット写真とともに、「周東選手11試合連続盗塁おめでとう。いや、おめでとうは明日の新記録達成まで置いとこかな」と祝福し、さらなる記録更新に期待を寄せた。
ここから、周東選手への思いが溢れ出す。「最近毎日ホークスの試合を観ていた」という福本氏は「周東選手が走ってるのを見るのが楽しいねん。まるで自分がグラウンドにいるような気持ちになる時もあるしね。11試合連続盗塁は凄い。47盗塁(28日終了時点のシーズン盗塁数)も凄い」とべた褒め。
さらに「けど何より毎試合出塁してるのが凄い。いつも笑い話みたいに言われますが『盗塁の秘訣は...まず塁に出ること』やからね」と、自身の「盗塁論」を引き合いに出し、周東選手の出塁能力も評価した。
入団時の「境遇」にも共通点が
周東選手は17年ドラフト育成2位でソフトバンクに入団。ルーキーイヤーの18年にはフレッシュオールスターゲームで優秀選手賞を獲得し、翌19年には支配下選手登録を叶えた。19年シーズンは「代走のスペシャリスト」として1軍で重宝され、プレミア12でも日本代表として活躍した。
一方の福本氏も1968年のドラフト7位指名で阪急に入団。72年に記録したシーズン106盗塁、現役通算1065盗塁は今も日本で破られていない。福本氏は「育成出身やということで何となく勝手に自分と重ね合わせてしまうところもあって(ドラフト7位は今なら育成みたいなもんやしね)それからずっと気にして見ていました。ホンマもんやと思います」と周東選手の活躍を感慨深げに語った。
また、「周東選手が注目されることで『盗塁』が注目され、いろんなところでボクの名前を出してもらえてます。ありがとう。それを見た人がネットで『福本豊って誰やねん?』って見てくれることもあるかもしれんやん」と、自身への「恩恵」にも言及した。
ただ、「今度は周東選手の足を止めるためにきっといろんな研究されます」「各チームの若い捕手は周東選手の足を止めることで認められるチャンスがあるかもしれへんよ」と、今後は「周東対策」が激化してくると指摘。その上で、
「走れば走るほど楽しく、面白くなってくるのが『盗塁』だからとにかく『怪我』だけには気を付けて欲しいです。孫みたいな歳の周東選手へ...野球じーさんより」
と、さらなる活躍に期待を寄せた。
福本氏はこの文章の後、「#育成出身やということで何となく勝手に自分と重ね合わせてしまう」「#試合に出るということにきちんと向き合う姿勢」と、文章中のフレーズをハッシュタグとして大量に投稿。その興奮ぶりを改めて伝えた。
飾らない人柄と言動で、野球ファンから親しまれてきた福本氏。祝福コメントを読んだツイッター上のファンからは「毒が一切含まれてない」「温かみに溢れてる」と反響が広がっている。