プロ野球のレギュラーシーズンが最終局面を迎えている。今年度のドラフト会議が終わり、来シーズンへ向けて各球団が動き出した。去就が注目されていた阪神・福留孝介外野手(43)、能見篤史投手(41)は今シーズン限りでの退団が決定的で、ソフトバンクの内川聖一内野手(38)の退団も濃厚となった。いずれも現役続行を希望しているとみられ、今後は他球団でのプレーを模索していくことになりそうだ。
複数球団が能見の調査乗り出す可能性も
阪神の来シーズンの戦力構想から外れたとみられる福留、能見両ベテランの今後については明暗が分かれそうだ。福留は今シーズンの開幕戦でスタメン出場を果たすも調子が上がらず出場機会が激減。2020年10月27日時点で出場は43試合にとどまり打率.154、本塁打1本、12打点。年俸1億3000万円(金額は推定)の選手としては寂しい数字となっており、古巣・中日が移籍先の候補と見られるが、選択肢はそう多くないだろう。
一方の能見に関しては、複数球団が獲得へ向けて調査に乗り出すとみられる。昨シーズンは40歳ながら自己最多となる51試合に登板。今シーズンはピアース・ジョンソン投手、ラファエル・ドリス投手が抜け、中継ぎ陣は苦しい台所事情にあったが31試合(10月27日時点)に登板してブルペンを支えてきた。ここまで大きな故障もなく、145キロを超えるストレートは健在だ。
来シーズン42歳となる能見の移籍先はどの球団になるのか。セ・リーグではヤクルトが候補に挙がりそうだ。今シーズンはチーム防御率、失点ともにリーグワーストで投手陣の再建が急務となっている。左の中継ぎは貴重な存在で、能見の経験にも期待がかかる。また、チーム防御率4点台の広島も中継ぎに不安を抱えており候補のひとつとなるだろう。阪神一筋でパ・リーグは未知数だが、複数の球団が興味を示しそうだ。
幻に終わった「広島・内川」
ソフトバンクの内川の移籍先にも大きな注目が集まる。プロ20年目となった今シーズンは2軍で開幕を迎える苦しいスタートとなった。2軍で3割超えの成績を残すも1軍昇格の機会に恵まれず、今シーズンは10月27日時点で1軍での出場はない。チームは3年ぶりにリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズ(CS)進出を決めたが、内川は来シーズンの出場機会を求めて大きな決断をしたようだ。
内川のソフトバンク退団の報を受けて、ネット上では多くの鯉党が内川にラブコールを送っている。2010年オフ、当時横浜(現DeNA)に所属していた内川はフリーエージェント(FA)でソフトバンクに移籍。この時、内川獲得に名乗りを上げたのが広島だった。広島は球団史上初めてFA戦線に参加し、結果、内川獲得に至らなかったが、鯉党は幻に終わった「広島・内川」を夢見ているようだ。
また、横浜から広島に移籍した石井琢朗氏と内川を重ね合わせている鯉党もいる。石井氏は38歳で広島に移籍し、現役引退後は広島のコーチとしてチームのリーグ優勝に貢献。内川が当時の石井氏と同じ38歳ということもあり、鯉党の期待は高まるばかりだ。今シーズンは2軍暮らしが続き寂しいシーズンとなったが、来シーズンに向けて今オフの内川の動向から目が離せない。