DV被害者を「うそつき」呼ばわり 幡野広志コラム炎上でcakes編集部が謝罪・再発防止策を公表

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   コンテンツ有料配信サイト「cakes」上で、ドメスティックバイオレンス(DV)に悩む女性を傷つけるようなコラムを掲載した問題で、同サイトの運営会社「note」(東京都港区)は2020年10月27日、再発防止策を公表した。

  • cakesより
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  • 幡野広志氏の著書『なんで僕に聞くんだろう』(幻冬舎ウェブサイトより)
    幡野広志氏の著書『なんで僕に聞くんだろう』(幻冬舎ウェブサイトより)
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「大袈裟にいったらダメだよ」

   問題のコラムは、写真家・幡野広志氏の連載の最新回だ。読者から募った相談に幡野氏が答える形式で、連載は20年2月に書籍化もされた。

   10月19日配信の最新回のタイトルは「大袈裟もウソも信用を失うから結果として損するよ」。相談者は夫からのDVやモラルハラスメント(モラハラ)に悩む女性だった。

   「食事や掃除、子育てについて毎日何度もダメ出しをされ、深夜だろうが叩き起こされやり直しました。そんな生活が何ヶ月も続き、嫌気がさして実家に帰ろうとすれば主人の実家に引きずっていかれ、数時間にわたる義父からの説教」――。悲痛なメッセージは1400字超にもおよんだ。

   夫や義父からの仕打ちは耐えがたいものの、生活面や子どものことを思うと離婚に踏み切れず、藁にもすがる思いで助言を求めた。

   しかし、幡野氏は「正直なところぼくはあなたの話を話半分どころか話8分の1ぐらいで聞いています。眉毛は唾で濡れています、ウソだけど」と相談内容を信用せず、「ぼくだろうが警察官だろうが、弁護士だろうが裁判官だろうが、大袈裟にいったらダメだよ。まぁ警察官も弁護士も裁判官もみんなすぐにあなたのことを見抜くとおもうけど」と説教し、回答を拒んだ。

糸井重里氏にも批判

   コラム配信後、読者からは「何がモヤモヤするって幡野さんも編集者も『相談者が嘘ついてる』と最初から疑ってるくせに数ある相談の中からわざわざ選んで、あえて回答して晒した意地の悪さだよな」「このエントリ(記事)で、同じような状況にいながら踏ん張ってた最後の柱がポキッと折れる人もいるのでは」などと批判が殺到した。cakesや関連ブログサービス「note」を退会したと報告する人も後を絶たなかった。

   さらに、非難の目はコピーライターの糸井重里氏にも向かった。「嘘をつかない答えって、嘘に惑わされないことなんだね。相談の文を読んでるときと違和感が、そのまま回答だった」(原文ママ)などと幡野氏の回答に共感するツイートをしたためだ。

   記事はその後削除され、cakes編集部は19日、「相談の内容を『嘘』や『大袈裟』と指摘することで、相談者様はもちろん、多くのドメスティックバイオレンスやモラルハラスメント被害者の方を傷つけてしまいました。また、多くの被害者が、その相談を信用されないという問題を助長してしまいました」との見解を示し、記事掲載前の確認が不十分だったとして、「メディアを運営する立場として恥ずべきことだったと認識して、反省しております」と謝罪した。

   糸井氏も「幡野さんの誤解に基づく回答を、軽々しくリツイートしたじぶんも悪かったと思います。相談者のみきさん、ほんとうにごめんなさい」とお詫びした。

幡野氏「DVについて学んでいく」

   当の幡野氏も26日、「10月19日に公開されたぼくの記事について」と題した声明を出し、「記事が発端でDV被害の二次被害を増長させてしまったこと、DV被害の経験者の方を苦しめてしまったこと、DV被害について無知であるにも関わらずウソと決めつけて記事を書いたことを、深くお詫びします」と陳謝した。相談者にも連絡を取り、あらためて事情を聞いたという。

   相談内容を疑った背景にはDVへの無理解があったといい、「これからぼく自身もDVについて学んでいくし、cakesの編集部の人たちと一緒に講演や研修に参加する相談もしています」と報告した。

   cakesを運営する「note」は27日、具体的な再発防止策として次の6点を発表した。

・編集部のチェック体制、掲載フローの見直し
・公式SNSの運用ガイドライン見直し
・客観的にご意見をいただくためのアドバイザリーの起用
・編集部および全社でのDVやハラスメント、差別などの問題に関する勉強会の実施
・専門家へのインタビュー記事の掲載
・DVやハラスメント、差別など、さまざまな問題を考えるコンテンツの掲載
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