伊藤詩織氏「書類送検」をどう評価すべきか 弁護士に聞くその実際

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「容疑者」の呼称について

   書類送検自体をもって、犯罪事実があったと確証することになるのだろうか。

「確かに警察側も何の確証、証拠もなく事件を捜査し、書類送検するとは中々考えられませんが、先ほど述べたように、最終的に資料や証拠を検討して事件を起訴するかの判断をするのは検察官なので、書類送検されたからといって確実に有罪にできるまでの確証があるとは限りません」(正木弁護士)

   警察が書類送検の段階でどれだけ犯罪の証拠をそろえているか、についてもこう説明する。

「何の証拠もなく書類送検はしないとは思いますが、証拠と言ってもその価値は玉石混交なので、書類送検の段階で有罪にできるほどの証拠があるかは分かりません」(正木弁護士)

   今回は警察が告訴状を提出したことで取り調べなどが始まったが、「告訴状の受理」によって犯罪があった可能性が高いということにはならないのか。それとも、告訴状というのは基本的に受理されるものなのか。

「警察の内部規則である犯罪捜査規範63条1項によれば、警察官は告訴状の受理義務が定められていますので、書式の不備でもない限り、警察は告訴状を受理することになっています。したがって、告訴状が受理されたからといって捜査機関側に犯罪の確証があるとは限りません。なお、警察は告訴を受理した場合、速やかに事件書類などを検察官に送致する必要があります。(刑事訴訟法242条)」(正木弁護士)

   犯罪の疑いが持たれると「被疑者」、メディアでは「容疑者」と呼んでいる。書類送検の段階でそう呼ぶかどうかについては、このように解説した。

「書類送検段階でも被疑者と呼びます。もっとも、被疑者(メディアでいうところの『容疑者』)は、捜査機関から犯罪をしたと疑われている者のことなので、『被告人』(刑事起訴されている人のこと)のように明確な基準というのは中々難しいです。(大なり小なり疑いさえあれば皆被疑者です)」(正木弁護士)
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