プロ野球の2020年度ドラフト会議が2020年10月26日、都内で行われ、元メジャーリーガーで独立リーグのルートインBCリーグ埼玉でプレーした田澤純一投手(34)が12球団の指名から漏れた。「田澤ルール」が撤廃され、34歳の「新人」誕生に大きな注目が集まったが、まさかの指名漏れとなった。
メジャーでの豊富な経験評価も...
今回のドラフト会議においてドラフト1位候補に並んで注目を集めたのが田澤だ。ワールドシリーズ制覇に貢献した元メジャーリーガーの34歳をどの球団が指名するのか。それとも指名から漏れてしまうのか。メジャーから日本の独立リーグを経て日本球界入りを目指した田澤は色々な意味で注目された。
田澤の指名に関しては、中継ぎ陣の補強が必要な球団がリストアップしていたと見られていた。メジャー通算388試合(21勝26敗4セーブ)に登板した実力者でもあり、メジャーでの豊富な経験も評価の対象となっていたが、34歳という年齢が大きなネックになったとみられる。
横浜商大高から社会人野球の新日本石油ENEOSに進んだ田澤は、2008年のドラフトで複数球団の上位指名が見込まれていた。だが田澤はメジャーリーグ挑戦の意志を表明してドラフト指名を拒否。これを受けて、有望な若い選手の海外流出防止策として設けられたのが通称「田澤ルール」だ。
「せっかくルールが撤廃されたのだから...」
「田澤ルール」とは、アマチュア選手がNPB球団を経由せずに海外のプロリーグでプレーした場合、帰国後ある一定期間、NPB球団と契約が出来ないというもの。高卒選手は3年、大卒・社会人は2年間、NPB球団と契約が出来ない。このルールは今年9月に撤廃され、田澤のNPB入りの扉が開かれた。
かねてからの大きな壁が取り除かれたことで田澤のNPB球団入りの期待が高まったが、現実は厳しかった。日米のプロ野球界に精通する球界関係者は「今回のドラフトはNPB球団にとっても田澤選手にとってもメリットはなかったと思います」と指摘した上で、次のように語った。
「田澤選手は34歳とはいえ、ドラフトという枠にとらわれなければ興味を示す球団はあったはず。球団としては若手を獲得するためのドラフトで貴重な1枠を使うことにためらいがあったと思うし、交渉権を獲得しても交渉が決裂する可能性もあるので、あえてそのようなリスクを負ってまでと考えたのでしょう。せっかくルールが撤廃されたのだから、もう少し互いの選択肢が広がる形になればと思います」