「正直屋からの大切なお知らせです」――。抑揚のない女性のナレーションで始まる、ガス工事店「正直屋」のテレビCMをめぐり、視聴者から賛否両論寄せられている。
自社の宣伝にもかかわらず、リコール情報を伝えるCMかのような印象を覚えた人が少なくなく、SNS上で議論となっている。
「明らかにリコール喚起を装ってて...」との反応も
CMは冒頭、紺の背景に白抜きで「給湯器交換専門店正直屋からの大切なお知らせです」と書かれたスライドが映される。下部には目立つ大きさで電話番号が書かれている。
女性が「正直屋からの大切なお知らせです」と抑揚のない声で読み上げ、スライドが切り替わると「ガス・石油機器を購入の際は同じ工事でも価格が大きく異なるため、最低3社から見積もりを取ってください」と自社の宣伝が始まる。
「地域最安値を目指す正直屋を相見積もりの一社に、ぜひ加えてください」と続き、最後は打って変わって、明るい声で「ガス工事の正直屋!」と締める。
2020年10月22日から関東など一部地域で放送が始まると、「正直屋のCM面白かった。ついつい観ちゃったじゃん!」と好意的な反応の一方で、「明らかにリコール喚起を装ってて非常に不快」「確かに人の注目を集めるけどちょっと不謹慎だと思う」と批判も少なくなかった。
SNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で、22日~26日の期間に「正直屋」「CM」を含むツイートを調べると、ネガティブな書き込み(80.8%)がポジティブ(19.2%)を大きく上回った。
正直屋のユーチューブチャンネルには、同様のフォーマットで「ガスコンロ交換専門店正直屋からの大切なお知らせです」のスライドから始まる動画が、17年4月に投稿されている。このCM動画の反応も、低評価は高評価(34)の10倍以上ある(26日現在)
運営企業「貴重なご意見として受け止めております」
正直屋を運営する「アズクリエイティブ」の河北裕介社長は26日、J-CASTニュースの取材に、CMの意図を「給湯器は相見積もりすることで各社価格が違うと言うことを多くの人に知って頂くためでございます」と説明する。
CMはある法律事務所のテレビCMを参考に制作したといい、リコールCMを装う意図はないという。
同社には直接批判も寄せられているといい、「貴重なご意見として受け止めております」と答える。CM内容は27日以降、変更予定だとした。