「Anybody but Trump!(トランプ以外なら誰でもいい)」
もちろん、反トランプの声も根強い。
先ほどのバイデンの黒人をめぐる発言について、同じテーブルの白人男性デミアン(40、建設業)が、「あれはほんの冗談さ」と擁護。「俺は組合の労働者だ。組合はトランプを快く思っていない。あの身勝手な狂人がすべてをコントロールし、政治を変えてしまった。ニューヨークは民主党が強いから、俺の一票で何が変わるわけじゃないけど、トランプに反対の一票を投じたと言いたいから、投票する」と言い、「Anybody but Trump!(トランプ以外なら誰でもいい)」と繰り返した。
前回もここで会った人が、もう1人いた。「トランプには絶対、再選してほしくない」と言い、女性に対する差別について、黒人男性と口論していた若い女性(23、コンピュータープログラマー)だ。
「世界中で嫌われているトランプが、この国の大統領であることが、本当に恥ずかしい」と言い、今回は大学時代の男性の友人ケント(22)と一緒に、テレビの前にかじりついて、討論会を熱心に見ていた。
ケントは、中国系アメリカ人だった。
「中国系の多くは共産主義をものすごく恐れているから、民主党を社会主義と結びつけて考える人たちも多い。実際はどうかわからないし、彼らがよく理解しているかどうかもわからないけれどね。トランプへの反発の声ももちろんある。この10年くらいで共和党も民主党も極端に走り、分断が大きくなった。視聴率を稼いで政治利用するために、メディアが恐怖をあおり、分断をあおっている。二大政党制にはもう、うんざりだ。4年前も今回も、リバタリアン(自由至上主義)の候補に投票した(今年は不在投票)。リバタリアンが勝つことはないけれど、より多くの人が投票すれば、これから政党が大きくなっていくだろう」
米国のコロナ感染をトランプ氏が中国のせいにしていることについては、「それは事実だよ。中国政府が情報を隠していたし」と答えた。