「真に受けた」層だけが拡散主体ではない
続けて、J-CASTニュースはITジャーナリストの井上トシユキ氏に、やはり、「陰謀論を主張する者」と「その陰謀論を拡散させる一般ユーザー」についての分析を依頼。すると、井上氏はこれら両者には「面白がりたい」という要素が共通していると指摘した。
「一般的なネットユーザーの中には、『陰謀論を真に受けてしまって拡散させる』という層もある程度は存在するとは思いますが、やはり、陰謀論を拡散させている主たる層は、『ヨタ話を他者に伝えて面白がる人』と『ヨタ話を話半分に聞きつつ、拡散させて面白がる人』だと思います。まさに、共犯関係が成立しているわけですが、ネット上では、一昔であれば『2ちゃんねる』で、『うわさ話のネット大喜利』とでも言えるものが盛んに行われていたのです」
加え、井上氏はSNS全盛の時代特有の「拡散しやすさ」を指摘する。
「2ちゃんねるの全盛期では、『それらしい雰囲気を備えた作り話』はコピペとして拡散される一方で、『それらしい雰囲気を持たない作り話』は拡散されなかったのです。要は、出来損ないの陰謀論はふるいにかけられた上で消滅していたのですが、SNS全盛の現在では、荒唐無稽すぎる出来損ないのものまで何の規制も掛けられることなくまき散らされてしまっています。このため、陰謀論の本数そのものが増えてしまっているという状況です。そして、とどめが『まとめサイトの発達』。これら、ネット上に大量に『散布』された陰謀論を拾い上げ、ある意味、『見やすい形』でまとめてしまっていますので、荒唐無稽な情報の拡散が止まらないのです」
また、これらを指摘した上で、井上氏は以下のようにも述べた。
「『話に尾ヒレが付いていく』というのは、ある意味ではクリエイティビティーの発露ではあるのですが、やはり、『陰謀論』は常に誰かを傷つけます。ゆえに、『思いついた陰謀論を誰かに話したりネット上に書き込む』『見聞きした陰謀論を拡散する』という行為は厳に慎むべきなのです」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)