ITジャーナリストが語る「迷惑系」の歴史 「エスカレートすれば注目が集まる」
このように、「暴露系」によるリークは、ネット上で騒動を引き起こし、あるいは進展させる場合があるが、一方でデマ情報が含まれるなどして憶測・混乱を招くケースもみられる。こうした「暴露系」ユーチューバーが登場した経緯などについて、J-CASTニュースは10月22日に井上トシユキ氏に取材した。
まずその誕生や活躍の背景について、井上氏はこれまでの「迷惑系」の歴史から語る。
「以前にもアングラネタというか、みんなが知らない業界の裏側などを配信するような、『暗黒系』って言われる人たちがいたんですよ。ただ、大体みんな大人だったので、法律に抵触するなど、無茶なことはしなかった。実名はピー音で隠すとか、肝心なことは『想像にお任せします』と濁して」
一方で、2015年ごろに当時中学生だったニコニコ生放送の配信者が、企業への突撃行為や警察が出動する事態を引き起こし、「『エスカレートすれば、注目が集まるんだ』みたいなきっかけが出てきた」という。
17年から18年にかけてはユーチューバーが「小学生の憧れの職業」にもなり、「『普通のことやってても注目されないね』みたいな空気が当たり前に」なっていった。例として、「グルメ系」の場合、単に料理を賞賛するよりも「出されたラーメンをわざと不味いって言って突き返すみたいな方に発想がいっちゃう」場合があるようだ。
また17年には、覚醒剤に見せかけた白い粉を警察官の前で故意に落とし、追跡される様子を撮影したユーチューバーが偽計業務妨害の疑いで逮捕されている。このような迷惑行為について、井上氏は
「そういうふうに『逆張り』をしていくと、話題になってまとめサイトなんかでも取り上げられるし、ツイッターでバズったりする。ということに味を占めちゃったのが多分ここ2、3年の傾向ですよね。多分そうした延長線上にへずまみたいな人もいて」
と分析する。へずまとは、窃盗容疑などで20年に逮捕された「迷惑系」ユーチューバー・へずまりゅうのことだ。「暴露系」の活躍には、こうした「迷惑系」が注目を集めるようになったことが背景にあるという。