「みんなが使えるようになればそれが良いです」
アマビエは新型コロナウイルスが蔓延し始めた3月上旬ごろから、疫病退散にご利益がある妖怪として人気が沸騰。京都大学では、所蔵している江戸時代後期に描かれたアマビエの資料のデジタルアーカイブを改めて紹介し、広く活用を呼びかけていた。
複数の企業や個人が4月以降、アマビエの商標を出願。ただ、多くの人に愛される妖怪だけに、インターネット上では「権利を独占するのか」と否定的な向きもあった。その中で、JPPで確認できる限り最も早く出願していたのが今回の「お菓子のさかい」だった。
同社の酒井秀樹社長は7月10日のJ-CASTニュースの取材に、「商標を取っておかないと商品を販売できなくなる可能性がある、というのが出願の一番大きな理由です」と説明。もし商標権が取得できた場合は「即座にオープンにし、誰もが商標を使えるようにする予定です」とし、取得できなかった場合も「誰でもアマビエの菓子を作れるようになりますから、『自社商品を販売できるようにする』という目的に合致します」としており、登録の可否にかかわらず審査結果が出ることで目的は達成されるという考えを示していた(詳細は7月13日付<アマビエ商標出願の製菓会社社長に聞いた 取得できたら他社への対応は?>)。
酒井社長は10月23日、取材に対し「前回取材を受けた時と同じスタンスです。自社商品の販売が阻害されなければそれでよく、もし登録されたとしてもアマビエの商標権を独り占めする考えはありませんでした。今回の判断で弊社も、他の製菓会社さんも、今までどおりにアマビエを使えるだろうと思います。みんなが使えるようになればそれが良いです」と話した。「商品を販売するにあたっては通常ある段取りで、他の誰かが取得した場合に起きる弊社の販売リスクがないように出願していました」という。