神戸大学大学院工学研究科の教授から講義中にレーザーポインターを照射されたと受講した学生が訴え、大学が事実関係を調べていることが分かった。
光が目に当たれば、網膜が焼けて視力低下などの恐れもある。大学は2020年10月23日、近く調査委員会を設置することを決めた。
胸の辺りに赤い光が当たり、「そこ、何してんの?」
「とても怖い思いをしました」。被害に遭ったと訴える学生は、J-CASTニュースの取材に、こう告白した。
学生によると、この教授が10月14日に行った講義で、講義用資料のPDFを見ながら受講してよいとの指示があったとして、下を向いてスマートフォンを見ていた。居眠りをするようなこともなく、毎回最前列に座って意欲的に聞いていたという。
すると、学生は、自分の胸の辺りが赤い光に照らされたのでハッとした。教授は、この学生に、「そこ、何してんの? そこそこ」と言ってきたという。
教授は、スクリーンの場所を示すためにレーザーポインターを使っていた。赤い光は、どう見てもその光で、教授は、直前はポインターを使っていなかったため、誤って光が当たったのではなく、わざわざ取り出して照射したのではないかと学生は言っている。
学生の目に視力低下などの障害はないというが、もし顔を上げるなどしたときに照射されていれば、目に当たった可能性もあるようだ。
学生は、研究科長から謝罪はあったとしたが、講義の履修を取り消して教授に会っておらず、教授からの説明や謝罪はまだないという。新型コロナウイルスの感染拡大で、大学院はずっとオンライン授業だったが、10月から対面授業が始まったばかりだった。
教授は、事務を通して、「忙しいため取材をお断りしたい」
工学研究科の事務部に10月23日に取材して聞いたところによると、学生から被害の訴えが出ていたことから、研究科長がこの日、学生にヒアリングして状況を聞いた。
学生からは、第3者を含めた調査委員会を設置するよう要望があったため、この日に設置を決めた。今後は、委員を選んで、委員会を発足させ、事実関係を確認していくとしている。
事務部長は、「教授からは、まだ詳しい話を聞いていませんので、レーザーポインター照射が意図的なものか、たまたまだったかは分からないです。学生には、調査の結果を通知しますが、公式サイトなどで発表するかは状況によります」と話している。
学生は、警察にはまだ相談していないと話しており、事務部でも、警察の捜査はないとしている。
教授に電話して話を聞こうとすると、研究科の事務を通して、「忙しいため取材をお断りしたい」と伝えてきた。J-CASTニュースでは、メールでも取材依頼している。
過去には、大阪府立大学の外部講師が2019年6月、講義中の居眠りに怒って学生にレーザーポインターを照射し、大学が「由々しき行為」だとして公式サイトで学生らに謝罪したケースがある。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)