「文献調査」は地震の記録などから
まず第1段階の文献調査は、期間が約2年で、地質図や歴史的な文献で過去の地震の記録などを調べるとともに、住民との「対話の場」を設け、数キロ四方の敵地を探す。これで最大20億円の交付金が支払われる。これでOKとなると、第2段階の「概要調査」に進み、約4年をかけてボーリングなどの調査を実施、交付金は最大70億円。最後の「精密調査」は地下施設を建設して調査・試験を実施する。期間14年で、交付金は現時点では未定。それぞれの段階で、市町村長と知事の同意がなければ次の段階には進まないとされる。
国は2007年に調査受け入れ自治体への交付金を引き上げ、2017年には活断層や活火山の状況といった地質学の視点のほか、核のごみの輸送、金属などの鉱物資源の採掘への影響なども勘案し、処分地としての適性を示した「科学的特性マップ」を作成し、自治体への働きかけを強めてきた。この間、全国120カ所で対話集会を開いて住民に理解を求めてきたほか、水面下では大手電力会社に管内1カ所以上の候補地を出すよう促すなど、選定作業を前に進めようと躍起になっていた。
国が焦るのは、核のごみを巡る切迫した事情がある。1995年から日本原燃の施設(青森県六ケ所村)に核のごみが随時運び入れていて、ガラスで固化した状態で2176本が保管されている。ただし、これはあくまで「一時保管」で、県・村と日本原燃の協定で、搬入から30~50年で各電力会社に引き取らせるとしており、1995年に搬入されたものは2045年に期限を迎える。今後、日本原燃の再処理工場が稼働して使用済み燃料の再処理が進めば、ごみはどんどん増え、行き場を失ってごみがさまようことになりかねない。そんな事態は何としても避けたいというわけだ。