政策について各省庁の担当者を呼んで複数の野党メンバーが問いただす「野党合同ヒアリング」のあり方が改めて問われることになりそうだ。自民党の二階俊博、公明党の石井啓一両幹事長が2020年10月21日に会談し、与野党が行うヒアリングについて、あり方の検証や一定の見直しが必要だとの認識で一致したためだ。野党合同ヒアリングを念頭に置いた対応だ。
野党合同ヒアリングは、国会閉会中も開かれた場で政策を検証できる機会だが、権限が限られている担当者を野党議員が一方的に罵倒する「糾弾集会」状態になり、問題視されることもある。
発案の辻元氏「野党合同で行うからこそ影響力が生まれる」
各野党のウェブサイトで確認できる限りでは、ヒアリングが始まったのは18年2月。立憲民主、希望、民進、共産、自由、社民の6野党(いずれも当時)の議員が集まって、「茂木大臣の線香問題」や「働き方改革虚偽データ疑惑」についてヒアリングを行った。安倍政権では「財務省セクハラ問題」「加計学園『首相案件』問題」「イラク日報隠蔽疑惑」など問題が続出。疑惑や問題が発覚するたびにヒアリングが立ち上がり、メディアの注目度も高かった。
立憲の辻元清美衆院議員は、20年9月に出版した著書「国対委員長」(集英社新書)で、自らが始めた「ある新しい試み」のひとつとして、この野党合同ヒアリングを挙げている。書籍は、17年10月から19年9月まで野党の国対委員長を務めた経験をまとめた内容で、合同ヒアリングを発案した経緯を
「これまでヒアリングは各党がバラバラで行っていました。しかしそれではメディアからの注目も集まりませんし、幹部や責任者を引っ張り出すことも難しい。野党合同で行うからこそ影響力が生まれると考えたのです」
と説明。その意義を
「口だけで『野党共闘』と叫んでいても意味はありません。みんなで一つのことに取り組み、共同作業をすることが大切だと思っていました。ヒアリングを合同で行うことで、所属政党の大小にかかわらず国会議員一人ひとりの『専門性』『「調査力』が活かせるようになったと思います」
とした。ヒアリングをネットで生中継して国民が見られるようにすることで「自然とその場が『真剣勝負』」になる、とも説明している。