ボクシングの複数の海外専門メディアが2020年10月22日までに独自のパウンド・フォーパウンド(PFP)を更新し、WBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(27)=大橋=が上位を独占している。井上は10月31日(日本時間11月1日)に米ラスベガスでジェイソン・モロニー(29)=オーストラリア=を相手に防衛戦を予定しており、タイトル戦の内容次第では世界最強王者となる可能性が出てきた。
敗北のロマチェンコの評価が急落
PFPとは体重差がないと仮定して全階級のボクサーを格付けするもので、海外の専門メディアは独自のPFPランキングを作成している。ランキングの更新はそれぞれ不定期ながらPFP上位にいるボクサーの試合が行われた後に更新される傾向にある。今回はPFP上位のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)が10月17日の王座統一戦で敗れたため、海外の専門メディアのPFPランキングが一斉に更新された。
専門メディアのなかで世界中のボクシングファンが注目するのは、米国の権威ある老舗専門誌「ザ・リング」のランキングだ。「ザ・リング」(WEB版)はロマチェンコの試合直後にランキングを更新。最新のランキングではロマチェンコは2位から7位に落ち、ロマチェンコに勝利したテオフィモ・ロペス(米国)は6位にランクイン。3位につけていた井上は2位に浮上し、1位はサウル・アルバレス(メキシコ)で変わらず。
「ザ・リング」に続いて英国の老舗専門誌「BOXING NEWS」(WEB版)がPFPランキングを更新。ここでも井上はアルバレスに次いで2位にランクされた。「BOXING NEWS」の最新のPFPランキングでは、3位にテレンス・クロフォード(米国)がランクされ、ロマチェンコは6位に急落。ここでもロマチェンコを破ったロペスの評価は高く、5位にランクインした。
PFPトップ3には同じ顔ぶれ
米国のスポーツ専門局「ESPN」も10月22日までにPFPランキングを更新した。「ESPN」のランキングでは、これまでロマチェンコがトップに君臨していたが今回の敗戦で6位に転落。ロマチェンコが降格したことで、ランキング上位選手がそれぞれひとつずつランクを上げ、1位にクロフォード、2位にアルバレス、そして井上は3位に。ロペスはランク外から5位にランクされた。
WEBサイトの専門メディア「BOXING NEWS 24」は、10月20日にランキングを更新。ここでも井上は2位に浮上した。1位はアルバレス、3位にクロフォードがランクされ、ロマチェンコは10位に急落した。ロペスはここでもトップテン入りしており、7位にランクイン。ロペスは主な専門メディアのPFPランキングに入った。
ロマチェンコの敗北を機に、世界のPFPランキングはアルバレス、井上、クロフォードの3人が上位を占める。「世界最強王者」と称されるアルバレスの次戦は現時点で決まっておらず、クロフォードは11月14日にWBO世界ウエルター級王座の4度目の防衛戦を控えている。今後の展開次第では井上が「世界最強」の称号を獲得する可能性もあり、ラスベガス決戦に世界が注目している。