非公表から公表に一転
仙台がここまで道渕の事件を非公表としてきたのは、「両名のプライバシーに関わり、また双方の要望がある」(前出・発表文)ためだった。そうした事情があり、「逮捕状の執行」を把握しながら道渕の復帰もさせていたのが、「写真とLINE」が報道されて即日契約解除、公表に一転したのは、どのような判断だったのか。
「認知していなかった事実」はFLASHに掲載された、道渕がビデオ通話越しに包丁を持ち出した写真や、返信の遅れを問い詰めるLINEの文言などだったと会見で明かされた。DV行為そのものだが、こうした言動を把握していなかったのであれば、道渕の問題をどこまで知っていたか、「逮捕状」が出ていることを知った時点で原因を調査しなかったのか、何をもって「重い処分」を科したか判然としない。会見では「重い処分」の内容も明かされなかった。
道渕は17年7月のJ2・ヴァンフォーレ甲府(当時J1)時代も、女性への暴力により暴行罪容疑で逮捕されていた(その後不起訴処分)。甲府が同シーズンの出場停止、減俸などを発表した17年9月1日付のリリースで、道渕自身は「今後は全てのご批判を真摯に受け止め、二度と同様の過ちを犯さないことをお誓い致します」とのコメントを寄せている。にもかかわらず、わずか3年で「同様の過ち」を犯したことは、今回の「誓約書」の信憑性がないに等しいことはもとより、仙台の所属選手に対する管理監督責任の問題にもなってくる。
仙台は問題を把握した後の9月26日、クラウドファンディング(CF)や口座振込などによる支援を募り始めている。新型コロナウイルス禍で、見込み通りであれば今期末3億800万円の債務超過になるという経営難が理由だが、選手の不祥事を隠したままの形でサポーターの寄付を呼びかけたクラブの判断は、かえって不信感を招いたようだ。