「ビフィズス菌」と「短鎖脂肪酸」
善玉菌の活性化で特に注目したいのは、大腸の善玉菌の代表である「ビフィズス菌」とビフィズス菌などがつくりだす「短鎖脂肪酸」だ。短鎖脂肪酸が多くつくられると悪玉菌の増殖を抑制し、炎症を抑える作用が高まる。そのうえ全身のエネルギー源ともなるため、大腸では蠕動運動を活発にして快便を助け、全身の代謝が高まることでヤセ体質も手に入れられるという。
短鎖脂肪酸は、ビフィズス菌などの善玉菌から作られる
「短鎖脂肪酸が増えると大腸でエネルギーを発生して全身のエネルギー源となり結果として疲労改善につながるといえます。」(松井教授)。
ではビフィズス菌と短鎖脂肪酸をどんどん増やしたくなるが、どうしたらよいのか。
酸素を嫌うビフィズス菌は、一般の発酵食品にはふくまれていない。その中でも手軽にとれる食品はヨーグルトだが、ヨーグルトでもビフィズス菌を含まないものが多く、ビフィズス菌入りかどうかをチェックすることが大事だ。そして、ビフィズス菌が短鎖脂肪酸をもっと効率よく生むためにはエサが必要となる。
ビフィズス菌のエサとなるのは「水溶性食物繊維」や「オリゴ糖」など。具体的には、海藻・根菜、納豆・リンゴ・ミカン・ハチミツなどの食品に含まれている。
ビフィズス菌入りヨーグルトにプラスして、日々の食事に1日2~3回、1品ずつで構わないのでこれらの食品を加えていけば、腸内環境のバランスが改善し、ビフィズス菌などの善玉菌が活性化して短鎖脂肪酸をどんどん生み出してくれるようになるという。
「自分の腸内細菌との相性があるので、ビフィズス菌入りヨーグルトを試すとき、同じ製品を最低10日間は続けること。もし10日ぐらいで変化がなかったら、自分の体内にすんでいる常在菌と相性が悪かったということで、別のヨーグルトをまた同様の期間試す。便通や便のニオイが改善したと実感できたら、それは相性の良い菌だというしるしです。」(松井教授)
短鎖脂肪酸を増やすには善玉菌とそのエサが必要
実は、生まれた直後の人間の大腸には母体(産道)から受け継がれたさまざまな腸内細菌がいるが、その後は母乳に含まれるオリゴ糖をエサにビフィズス菌が大腸内でどんどん増え、感染症などの外敵から赤ちゃんを守ってくれる。その後、離乳食など母乳以外の食品を摂り始めるとビフィズス菌は減っていき、一定の年齢を超えると加齢と共に急激に減ってしまう。
ある調査によると、長寿の人や健康な人の大腸内には、ビフィズス菌が多いという結果もあり、健康と長寿に大きな役目を果たすのではないかと注目が集まっている。
ビフィズス菌は赤ちゃんの時に多くても、加齢につれて減っていく