キオクシアHD「上場延期」の影響は? 強弱の見方、それぞれの言い分

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機動的な投資判断が成長を大きく左右

   そこで、各メーカーは年間数千億円を設備投資に振り向け、激しい製品開発・増産競争を展開している。どれだけ資金を調達・投入できるかが勝負の分かれ目というのが、半導体の宿命だ。キオクシアHDは、売上高のほぼ3割に当たる3000億円程度を設備投資にあてる方針で、主力の四日市工場(三重県四日市市)の第7製造棟の建屋着工時期を当初計画の2021年9月から4月へ半年前倒しする方向といわれ、北上工場(岩手県北上市)の生産ライン増設も検討している。

   上場で600億~750億円程度の資金調達を見込んでおり、こうした設備投資に充てる計画だった。ただ、世界首位の韓国サムスン電子は、年間1兆円を超える巨額の投資をするなど、ライバルの動きは活発。半導体では特に、機動的な投資判断が成長を大きく左右するといわれるだけに、キオクシアHDの上場の遅れは競合相手との戦いにマイナスになりかねない。

   ファーウェイへの規制について、キオクシアHDやソニーは、取引再開許可を米商務省に申請したが、認められるかは不透明だ。

   キオクシアHDの上場延期を受けた今後の見通しについては、強弱、見方が割れている。米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(日本語電子版9 月 29 日)は上場延期がファーウェイ制裁のためとの説明について、「特に短期的に見ればある程度の正当性がある」としつつ、「パンデミックは実のところ、データセンターに使われる半導体の需要を押し上げた」と、キオクシアHDの製品の需要拡大を指摘。株の売り出し価格の高さが「(上場)延期の根源的な理由である公算が大きそうだ」として、時価総額見込み(ドル換算)について、上場申請当初の200億ドル、上場延期決定当時の160億ドルに対し、115億ドルが妥当とのアナリストの試算を紹介している。

   一方、日刊工業新聞(10月6日)は「12月上場へ」との記事を掲載し、キオクシアHDの売り上げ構成について、「ファーウェイ向けは全体の10%未満にとどまる」と、影響は限定的だとし、米アップル(20%超)、米ウエスタンデジタルと米デル・テクノロジーズ各10%超といった大口顧客が健在なことを指摘するとともに、NANDA型フラッシュメモリーの世界需要が旺盛なことを強調している。

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