さらに一段の上昇は...?
もっとも、日本製鉄は、海軍工廠跡地(広島県呉市)に建設された呉製鉄所(高炉2基)を2023年9月末をメドに閉鎖するほか、「官営」以来の八幡製鉄所(北九州市)の高炉1基、旧住友金属工業の主力だった和歌山製鉄所(和歌山市)の高炉1基を休止する大がかりな構造改革(生産能力削減)を進行中だ。中国企業の大幅増産などにより世界的に生産能力が過剰になっていることに対応する。高炉4基の休止(15→11基体制へ)を含むリストラで1000億円の収益改善効果を見込んでいる。
そうした最中に今年春先、新型コロナによって2008年のリーマン・ショック級の需要蒸発が起きたため一時休止していた高炉について、足元の需要動向で再稼働する、というのが現在の状況だ。とはいえ、自動車向け需要の回復と言ってもコロナ禍前の巡航速度にやや近づいたというものであって短期的な好材料に過ぎず、1年前の約3分の2に留まる株価が、さらに一段の上昇があるかどうかは見方が分かれそうだ。