ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)に挑戦するジェーソン・モロニー(オーストラリア)が5人の「仮想井上」を相手に最終調整に臨んでいる。海外専門メディア「Fightnews.com」が報じたもので、2020年10月31日(日本時間11月1日)に予定されるタイトル戦に向けて5人のスパーリングパートナーを相手に実戦練習を積んでいる。
「12ラウンドを戦う準備も出来ている」
「Fightnews.com」によると、今回モロニー陣営は総勢5人のスパーリングパートナーを用意。モロニーの双子の弟で元WBA世界スーパーフライ級王者のアンドリューをはじめとし、チリ、プエルトリコ、米国、オーストラリアのボクサーをパートナーに招へいしたという。10月2日に米国入りして以来、連日、5人の「仮想井上」相手にスパーリングを行い、実戦感覚を磨いている。
モロニーのスパーリングパートナーを務める5人は、この1カ月間、井上のボクシングスタイルを研究し、井上をシミュレートしながらスパーリングを行っているという。万全のバックアップ体制で調整を行っているモロニーは「勝つために必要なこと全ての準備は出来ている。理想はノックアウトすることだが、12ラウンドを戦う準備も出来ている」と順調な仕上がりぶりをアピール。
また、モロニーの母国メディア「news.com.au」(WEB版)は、モロニーのラスベガスでの調整の模様を詳細にリポートしている。モロニーはラスベガス入りしてから「マイク・タイソン・マイル」と呼んでいるトラックを使用して走り込みを行っているという。このトラックは、元世界統一ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)が、ラスベガスで試合をする際に使用したもので、モロニーは週4回、このトラックで走り込んでいる。
「世界で最も悪い男がかつて...」
「マイク・タイソン・マイル」はラスベガスの歓楽街から車で約15分ほどの距離の「サンセット・パーク」にある。かつてタイソンがラスベガスで調整中に道路を走ることを嫌い、地元議会に依頼してトラックを作らせたという。モロニーは「ここは素晴らしいスポットです。そして、世界で最も悪い男がかつてまったく同じことをした場所で準備するのはクールです」と語っている。
「news.com.au」によると、モロニーは練習を離れるとチームメイトと卓球をしたり、プールで泳いだりしてリラックスして過ごしているという。宿泊施設近くのスーパーに買い出しすることもあるというが、それ以外は新型コロナウイルスの感染予防のためで歩くことはほとんどないという。「トレーニングは1日の大部分を占めるが、ダウンタイムはグループでいるので楽しめる」と語っている。