新型コロナウイルスの影響で失われた旅行需要の回復をめざす国の「Go To トラベル」キャンペーンについて、「3500円まで」という割引上限額や1会員1回までという制限を設けていた一部大手の宿泊旅行予約サイトが2020年10月13日、制限を取り下げ、従来の「1万4000円まで」という上限額や回数無制限に戻すことを明らかにした。
大手予約サイトでは10日までに制限を設け、理由としてGo To トラベルに割り当てられた予算に上限があるためだとしていた。こうした中、赤羽一嘉国土交通相は13日午前の会見で、割引原資の給付金を各事業者に追加で配分する方針を明らかにしていた。
「可能な限り機動的に予算枠の追加配分を行う仕組みに改めたい」
所管する観光庁の制度上、Go To トラベルは国内旅行を対象に「旅行代金35%割引」を受けられる。10月1日には旅先で使える「同15%相当分の地域共通クーポン」の付与も加わり、あわせて旅行代の半額相当が還元される。また9月18日には、当初対象外だった東京発着の旅行も10月1日以降の日程分から販売開始。キャンペーン自体は7月22日に開始していたが、こうした動きにより10月に入って一層需要が高まっている。
一方、一部の大手予約サイトで予約が急増。10月10日までに「35%割引」のクーポン発行に、下記のとおり制限が設けられていた。
・楽天トラベル...1会員あたり上限1枚(宿泊は1予約1部屋、ツアーは1予約)まで。
・じゃらん...割引上限額1人1泊3500円まで。10日2時以降の予約に適用。
・Yahoo!トラベル...割引上限額1人1泊3500円まで。10日0時以降の予約に適用。
・一休.com...割引上限額1人1泊3500円まで。10日2時30分以降の予約に適用。
観光庁の制度上、35%割引の上限額は1人1泊1万4000円(日帰り旅行7000円)となっている。1泊3500円という上限は、この4分の1にまで少額化していた。
この4サイトでは制限を設けた理由として、「Go To トラベルクーポンを多くの方にご利用いただくため」という言葉が並んでいた。旅行代金を割り引くための国からの予算は事業者ごとに配分されており、その金額には限りがある。制限を設けたのは、短期間に一部利用者へ割引が集中することを防ぐためだった。
実際、予約サイト「dトラベル」は9日、「Go To トラベルキャンペーンにつきまして、ご好評につき給付金額の予算上限に達しましたので、販売終了となりました」と発表。11月にも予定されている新たな予算給付があり次第、販売を再開するという。
10日にこうした動きがYahoo!ニュース個人の記事などで取り上げられ、12日ごろからはメディアでも大きく扱われるなど、その動向に関心が高まる中、赤羽国交相は13日、「元通り35%の割引商品を継続販売できるよう、観光庁に必要な対策を講じるよう指示した」とし、「今後、予約状況や販売状況を適切に把握し、可能な限り機動的に予算枠の追加配分を行う仕組みに改めたい」と割引原資となる給付金を追加配分する方針を表明した。14日午前には各事業者で35%の割引支援が再開される予定としたほか、3500円などに引き下げられた割引上限額での予約も、35%割引の支援を受けられるよう対応したいとしている。