ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)に挑戦するジェーソン・モロニー(オーストラリア)が順調な仕上がりぶりをアピールしている。海外専門メディア「Boxing Scene」が報じている。タイトル戦は2020年10月31日(日本時間11月1日)に米ラスベガスで予定されており、王座奪取に向けてモロニーは「100%準備は出来ている」と語っている。
「年間最高試合になる可能性がある」
タイトル戦に向けてすでに米国入りしているモロニーは、帯同するスタッフと共に新型コロナウイルスの検査を受け、スタッフ全員が陰性だったことを報告。母国オーストラリアで9月いっぱいまでスパーリングを中心とした実践的なトレーニングを積んで10月2日に決戦の地に乗り込んだ。
「Boxing Scene」によると、モロニーは「私の目標と夢は、バンタム級で最高になること。最高になるためには最高を打ち負かさなければならない。これは究極の挑戦であり、100%準備は出来ている」と語っている。また、井上を共同プロモートするトップランク社のボブ・アラム氏は「年間最高試合になる可能性がある」と期待を寄せているという。
モロニーにとって「世界のイノウエ」への挑戦はボクサー人生で最大のチャンスとなる。米国の権威あるボクシング誌「ザ・リング」が格付けするパウンド・フォー・パウンド(PFP)で3位にランクされる井上の今年初戦は、米国をはじめとする世界各国の関係者から注目を集めている。モロニーにとってまさに「究極の挑戦」となるだろう。
5年前には1年のブランク明けで2回TKO勝利
一方、約1年ぶりのリングとなる井上の唯一の懸念材料は「試合カン」だろう。試合の前評判が井上の「圧倒的優位」に傾くなか、いかに実戦感覚を取り戻してKOにつなげるか。今回同様に1年のブランクを経てタイトル戦に臨んだ2015年12月の防衛戦(WBO世界スーパーフライ級)では挑戦者ワーリト・パレナス(フィリピン)を2回TKOで下しており、この再現に期待がかかる。
新型コロナウイルスの影響でビッグマッチが転がり込んできたモロニー。王者・井上に対してここまで一貫してリスペクトの姿勢を崩さない「紳士的」ボクサーでもある。「究極の挑戦」で王者の牙城を崩すことが出来るのか。それとも「モンスター」の餌食になるのか。注目のゴングは10月31日に鳴らされる。