プロ野球セ・リーグの新人王争いが終盤を迎えている。2020年の新人王が有力とされるのが、巨人・戸郷翔征投手(20)と広島・森下暢仁投手(23)だ。両投手ともに2020年10月12日時点で8勝をマークしており、勝ち星で並んでいる。
ペナントレースは首位を独走する巨人の連覇が濃厚だが、戸郷と森下の一騎打ちの様相を呈しているセ・リーグ新人王の行方は...。
森下はリーグ5位のチーム状態のなかで奮闘
両投手の直近の試合を振り返ると、森下が10月10日のヤクルト戦に先発し6回4安打無失点で8勝目をマーク。打者25人に対して8奪三振の好投だった。一方の勝ち星で並ばれた戸郷は翌日11日の中日戦に先発。6回4安打2失点と試合を作るも打線の援護がなく負け投手に。ライバルを引き離したいところだったが、痛い5敗目となった。
今シーズンのここまでの両投手の数字をみると、ともに15試合に先発し、戸郷が8勝5敗、森下が8勝3敗となっている。防御率では森下が2.28、戸郷が2.76と森下がリードしている。また、森下は8月14日の阪神戦で完封しており、クオリティ・スタート(QS)率は73.3で投球回数は98回3分の2。これに対して戸郷の投球回数は84回3分の2と水をあけられている。
10月に入って2連勝している森下はシーズン序盤、打線の援護に恵まれなかったり救援陣が乱れたりして落とした試合があった。今シーズンの広島は低迷が続き現在リーグ5位に沈んでいる。一方の今シーズンの巨人は救援陣がしっかりと機能し、9月中旬に優勝マジックが点灯。このように対照的なチーム状態のなか、数字の上で森下が戸郷をリードしている。
「勝ち星に差がなくなるとイニング数が...」
今シーズンのセ・リーグ新人王争いについて、巨人で戦略コーチを務めた野球解説者の橋上秀樹氏(54)は、2つのポイントを指摘している。それは戸郷、森下両投手の「投球回数」と「チームの順位」である。
橋上氏は巨人の救援陣が安定していることを指摘した上で「戸郷投手と森下投手の勝ち星に差がなくなるとイニング数が大事なポイントになってくるでしょう」と分析し、また一方で過去の新人王選出の傾向から「同様の成績ならば優勝したチームの選手が選ばれる可能性が高いと思います」と指摘している。
戸郷、森下ともに今シーズンは先発ローテーションの一角として存在感を見せている。完成度の高さが評価される森下に対して、今後の伸びしろに期待がかかる戸郷。巨人と広島の今シーズンの残り試合は10月12日時点でともに24試合。セ・リーグ新人王争いが最終コーナーに差し掛かった。