台風14号について、南に「Uターン」した進路を1週間ぐらい前にスーパーコンピュータで予測していた国があると、ネットで話題になっている。
それは一体どこの国なのだろうか。なぜ予測できたのかなども含め、気象庁にも聞いてみた。
「ジェット気流に乗れず、高気圧と低気圧に挟まれて南下」
「どこかの国でこの進路を大体予測していたのにはびっくり」
「当初、まさか的中するとは思わなかったけどね」
「予想ルートにこのラインあったよね、凄い予測精度だな」
台風14号が日本に上陸せず、伊豆諸島近くでUターンするようなコースをたどったことについて、ニュースサイトのコメント欄などでは、こんな声が相次いだ。台風は、2020年10月12日になって小笠原近くで熱帯低気圧に変わった。
進路については、2020年10月5日ごろ、テレビのワイドショーなどで、各国のスパコンが予測した進路が天気図で紹介された。日本の太平洋岸に沿って、北東方向に進むのが多かったが、南に大きく時計回りに急カーブして日本を離れるコースも出ていた。このことについて、ありえないのではと話題になった番組もあったようだ。
台風14号がUターンした理由について、気象庁の天気相談所は12日、J-CASTニュースの取材にこう説明した。
「台風は、偏西風によるジェット気流が日本の北に流れていたために気流に乗れませんでした。太平洋側にある上空5000メートル付近の高気圧が東西に分裂し、台風は、東の高気圧の縁に沿って、まず時計回りに回ります。西の高気圧との間に低気圧ができ、低気圧は反時計回りに風が吹きますので、東の高気圧と低気圧の間には北風が吹きます。その風に乗って、台風が南下したわけです」
ネット上では、この迷走台風が太平洋上で発達してまた日本に戻ってこないか心配する声も出ているが、今のところ、台風にならない様子だという。
過去には、11年に発生した台風6号も同様にUターンしたケースがある。
当てたのは欧州中期予報センター、10日先まで予測など優秀な面も
台風のUターンをスパコンで予測していたところは、イギリスに本部がある欧州中期予報センター(ECMWF)だった。
ECMWFは、ヨーロッパ各国が加盟し、産経新聞の10月7日付記事によると、第1次大戦では天候が戦況を左右したため、ヨーロッパでは、気象学が発達したという。
気象庁のアジア太平洋気象防災センターは12日、10日先まで予測しているECMWFについて、取材にこう話した。
「日本は、5日先までしか予測していませんので、Uターンするところまで計算せず、初期データを元にした数値予報モデルのミューレーションでは、太平洋岸を北東方向に進むとしました。このモデルでは、確かにアルゴリズムやコンピュータの違いで差があり、日本が負けている部分はあると思います」
ドイツの気象機関も、10月5日時点でUターンを予測していたという。
ただ、ECMWFは、7日時点ぐらいでは、台風が北東方向に進むと一時予測を変えていた。
「各国とも誤差があり、当たるときも外れるときもあります。常に当たるのがあればいいのですが、1年を通して見れば、日本は、ヨーロッパなどとそんなに大きな差はないと思います。日本は、各国のモデルも参考にして5日先まで予測していますので、予報は劣っていないと思っています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)