「かながわ県民割」開始早々に完売「始まったと思ったらもう...」 事情を担当者に聞いた

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   神奈川県は2020年10月から、新型コロナウイルスの感染拡大によって落ち込んだ旅行需要の早期回復などを目的とし、県の予算で旅行代金を割引くキャンペーン「地元かながわ再発見(かながわ県民割)」を開始した。このキャンペーンは、開始から一週間足らずで、ほとんどの商品が完売するなど非常に大きな反響があった。

   この事業は、近畿日本ツーリスト首都圏横浜支店、JTB横浜支店、日本旅行神奈川法人営業部、東武TOPツアーズ横浜支店の4社から成る共同企業体に委託されている。そこでJ-CASTニュースは、神奈川県観光企画課の担当者と委託企業から成る共同企業体「地元かながわ再発見事務局」事務局長の出口律子さんに、電話で取材を行った。

  • かながわ県民割公式サイトより
    かながわ県民割公式サイトより
  • かながわ県民割公式サイトより

一週間で「神奈川県の予算が所定の消化額に達した」

   かながわ県民割は、旅行需要の回復と神奈川県民が地元・神奈川県の魅力を再発見する契機を提供することを目的に、神奈川県が予算の範囲内でその代金を割引く制度だ。横浜・箱根・鎌倉といった人気観光地域を「定番エリア」、そのほかの地域を「再発見エリア」に分類し、後者に関しては割引率を高めに設定している。再発見エリアでの宿泊は最大7500円の割引が受けられる。

   さらには国が実施する「GoToトラベル」との併用も可能で、お得に旅行が楽しめるとされていた。実施期間は10月8日から来年2月28日までの間。キャンペーン適用商品は、旅行事業者(旅行代理店)、宿泊事業者(ホテル・旅館等)、OTA(オンライン・トラベル・エージェント)、鉄道・船舶事業者から順次販売される。

   旅行事業者と宿泊事業者は10月1日から、予約受付を開始した。しかし10月6日、JTB・日本旅行・東武TOPツアーズ・近畿日本ツーリストでの販売は終了、さらに宿泊事業者への直接予約販売も一旦受付を中止すると、かながわ県民割の公式サイト上で発表された。県内の宿泊事業者のツイッターを参照すると、「神奈川県の予算が所定の消化額に達した」といった報告が相次いでいる。

   J-CASTニュースの取材に対し、神奈川県観光企画課の担当者は10月9日、宿泊事業者には2億円、旅行事業者には5億円を目安に予算を割り当てていると明かした。しかし10月9日現在、宿泊事業者と旅行事業者の商品はおおむね完売したという。

特に「再発見」エリアが好評

   「地元かながわ再発見事務局」事務局長の出口さんによれば、「かながわ県民割」は非常に早く大きな反響があったという。その背景には、国のGoToトラベルがあったことや、行楽シーズンに重なったことなどがあるのではないかと推測している。

「これはGoToトラベルキャンペーンのほうの事業ですけれども、ちょうど神奈川県の地域共通クーポンの配布もちょうど10月以降からの予約でスタートしております。いろんな要素が重なって、非常に皆様が関心を持ってくださったのだなと感じております」

   また、定番エリアと再発見エリアではどちらが人気だったのか尋ねると、出口さんは「再発見エリア」が好評なのではないかという見方を示す。

「月次の集計がまだとれていないので明確な答えはできないのですが、事務局の感覚では、再発見エリアが非常に好評です」

   このような反響があった一方で、SNS上では「始まったと思ったらもう取り扱い終了」、「電話が繋がる前に売り切れ」と落胆する声も上がっている。しかし、宿泊事業者の予約受付の再開の目途などについて出口さんは、

「再開の見込みなどは今、全くございません。現在は各社、販売を中止している会社が多いのですが
 今後、お客様の旅行取消が多く発生した場合、その取消分を再度、販売することが検討されている程度です」

と言う。

   神奈川県観光企画課の担当者も、今後の対応については、事業管理者から今月末に詳細な報告を受けてから、その内容を検証したうえで予算配分の調整含め、検討していくとしている。

   なお、観光企画課の担当者によれば今後のOTAや鉄道・船舶事業者での販売については、予定通り実施予定。OTAへの予算の目安は2億、鉄道・船舶事業者は0.5億となっている。OTAに関しては、「JTBるるぶトラベル」のみだったが、9日からは「Yahoo!トラベル」でもキャンペーン適用商品が販売される(この2つでは「GoToトラベル」との併用はできない)。そのほかの事業者に関しては、準備が整い次第販売されるとのことだった。鉄道・船舶事業者については、江ノ島電鉄が8日から「江ノ電満喫セット券」を発売しており、そのほかの事業者はOTA同様、準備が整い次第順次販売予定だとしている。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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